「残念、ひたすら残念」キネマの神様 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
残念、ひたすら残念
クリックして本文を読む
原作は未読です。
でも前半の涙が、後半は一滴残らず乾いてしまった。淑子さんの涙も消えました。キネマしかない青年監督がセットの2階から落ちて、それっきり故郷に帰ってしまい、そのままなんて、プロットとしては観たくないです。
何故、キネマに魂を奪われた青年の夢をもっともっと、画面に溢れさせてくれなかったのかなと思います。
映画作品として、ロケハン現場や撮影の緊張感と思惑、脚本の手直しに翻弄されてしまう若者のエピソードを、何とかして積み上げることは出来なかったんでしょうか?
それで青春のゴウの身体に一杯に染み込んだ「キネマ」が、晩年のゴウからこぼれたら、熱い筋が通ったと思います。
青春時代の撮影所やロケハン現場、食堂、アパートは、時代感覚も醸し出していて良かった。晩年の映画館の描写も映写室から廊下、長椅子や自販機まで、黄昏感に浸れました。
ワンシーン、ワンシーンの中で、全ての出演者の演技にリアルな迫力があったのは事実。亡き方へのリスペクトも含めて。
それだけに、最初の熱い感動がどんどん冷めてしまう、中途半端感が切なかったです。
後半、映画館のトイレシーンが出てくる理由がよく分かりませんでした。
脚本賞の授賞式で読み上げられたゴウの手紙には、キネマに心奪われた男の息吹が全く感じられませんでした。
コメントする