「失ったものの大きさ」キネマの神様 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
失ったものの大きさ
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観てよかった。
まず、2020年以降の新型コロナを受けて、初期から大幅にシナリオ変更したのがわかる内容だったのに驚くというか、涙を誘うというか。
若い頃…デビューしたての志村けんさんってジュリーに似たイケメンだったから、志村さんのコロナ降板・死後にジュリーがこの役をやるのは納得。
だけど、あまりに志村さんの当て書き過ぎ。
アル中依存症役のジュリーが、映画館の売店からビールを盗んで飲むくだりは、志村さんのコントへのリスペクトだろうし、ジュリーが一所懸命に志村さんを演じていた感じ。
そして、志村さんへの哀悼として、ジュリーが歌う「東村山音頭」。
それを志村さんが演じていないことが物足りなく、その物足りなさがまた失ったものの大きさを気付かせて、この映画に込められた「時間」や「想い」をより深いものにしていたように感じました。
また、キムタク対応以外は、松竹大船撮影所でしか仕事をしていなかった山田洋次監督だからこそ撮れる、撮影所への愛が詰まった作品でもありました。
原作由来だとは思いますが、主人公のゴウが「なんでそんな小さなつまらないことで夢を諦めて辞めちゃうの?」ってのは、長い時の中で過去に辞めていった同じ志を抱いた友人たちへ捧げたリアリティなのかもなと。
山田洋次は「人情もの」「喜劇」の巨匠から、すっかり「老人の人生を肯定する物語」「ノスタルジー映画」「これから亡くなる方を見送る映画」の名人になったな、という感じ。
そして、さりげないVFX技術の高さ。
山崎貴さんが監修、白組とfudeの力がすごかった。
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