「家族観?に違和感」キネマの神様 トミえもんさんの映画レビュー(感想・評価)
家族観?に違和感
夏休みということもあってか、意外と10代、20代の観客も多かったです。
そういう若い世代に響く内容かどうかは正直微妙だと思いました。
ストーリーもベタでしたし、恋愛描写も「お前…好きな奴がいるんだろ?」「鈍感…バカ!」という見てるこっちが恥ずかしくなるようなベタなやりとりが多かったです。
ゴウはギャンブル好きが祟って借金を作り、シングルマザーの娘の歩が自らの退職金を借金返済に充ててくれたのにもかかわらず、また性懲りもなく借金を作り、借金の取り立てが歩の職場に電話がかけたり、家に押しかけたりするまでになりました。
母親の淑子も歩に向かって「あなたも少しぐらい貯えがあるんでしょう?それを返済に充てて」と平然と言ってのけ、それだけならまだしも派遣契約が切られる歩に対し、相手の浮気が原因で別れた元夫に就職の口利きをしてもらえとまで言います。
誤解を恐れずに言えば、いわゆる毒親だと思いました。
ギャンブルやアルコール依存症など問題のある家族を抱える人の為のセミナー講師は
「結局、家族が借金を肩代わりすると本人は甘えてしまうんです。絶対に本人に払わせてください。それでも払わない場合は心を鬼にして離婚して本人に自己破産させる、それしかありません」
とアドバイスしましたが、私も本当にその通りだと思いました。
しかし、最後に改心したのは歩の方でした。
ゴウが賞を獲ると「私は本当にあんな父親いなくなってしまえばいいと思ってた」と泣きながら反省する彼女を見て私は「いやいや、あなたの感覚は正しいよ」と突っ込みたくなりました。
授賞式に行けなかったゴウの手紙の「許しておくれ…」の一言では私はとても許す気にはなれません。
本来なら☆3の評価でしたが、コロナ禍というとても難しい状況の中で映画を完成させたスタッフの皆さんへの労いと、志村さんへの追悼という点を加味して☆3.5としたいと思います。