「終わり良ければ全て良し…か?」キネマの神様 日高雄介さんの映画レビュー(感想・評価)
終わり良ければ全て良し…か?
老人が作った老人向けの映画。私みたいなハナタレ小僧が文句垂れるのはお門違いではありますが。
主人公のキャラ造形があまりに雑。
現代パートではどうにもならない迷惑老人、回想パートでは情熱あふれる好青年。この2人がどうしても繋がらない。
過去パートで麻雀に狂ってる姿の1カットでも入れとけば良かったのに、何故そうしなかったのか?
物語が雑。終盤、そんな馬鹿な展開あるか?
転機となった「アレ」、50年前ならいざ知らず、どう考えても令和時代に絶賛される代物とは思えない。魅力ない。
現代パートで半端にコロナの話題出すのもどうかと思う。主張はごもっともだけども、蛇足感しか残らない。
あと今作に限った事でもないけど、この監督は「家族」の捉え方、描き方について画一的過ぎるんじゃないだろうか?
世の中、一つ屋根の下で暮らしても無関心な家族もいれば、100万円の借金で憎しみ合う家族もいるんです…。
そんな簡単に手のひら返すかよ。
「終わり良ければ全て良し」な価値観が好きな人にオススメ。
今作は一体誰に何を伝えたかったんだろうね?古い昭和映画バンザイ!というメッセージだけは濃厚に伝わってきたけれど。
過去パートでゴウがギャンブル依存でどうしようもないヤツという描写が全くないし、今まで映画に人生を捧げてきた人間が、あんなに突拍子もなく実家に帰ってしまうでしょうか...
付いていく前に、帰るのをみんなで止めてやれよ!と思いましたけど...
現代パートで「酒とギャンブルを俺からとったら何が残るんだ」とゴウが言ったのに対して、「映画があるじゃない!」って返すシーンがありますけど、だったら50年間何やってたんだっ!って思いました。
おっしゃる通り、キャラクター描写は全体的に雑です。
過去パートの役者陣の演技によって、ある程度、キャラクター構造に肉付けできていた部分がありましたが、現代パートでその構造の雑さが浮き彫りになった気がします。
「志村けんが亡くなったから~」とか「山田洋次監督だから~」っていう「悪い映画であるはずがない」フィルターがかかっているのも、また問題です。