「試写会を終えての感想」キネマの神様 やぎさんの映画レビュー(感想・評価)
試写会を終えての感想
一言で言うと、面白くないです。
原作未読の感想です。
内容を要約すると、
アル中、ギャンブル、借金の三拍子揃ったくそじじいが家族や友人に迷惑をかけつつ、生活し、借金返済の為にお金を取り上げられたので友人経営の映画館に行く。
思い出の映画を通して過去を回想し、
その後若い頃に作った脚本(撮影したが頓挫)を孫と共にブラッシュアップし脚本賞に応募、大賞をとる。
不摂生が祟って病気の中、友人の映画館で映画を観ながら死ぬ話です。
批判多めの個人的な感想です。
最初から主人公がくそ。若い頃の輝いていた思い出を引きずっているんだか、現実から逃げてるんだか知らないけどちっとも感情移入できない。
若い頃の回想についても、てらしんが可哀想だし手紙をわざわざ主人公に渡させるって淑子もひどい奴だし、これが人間味みたいな描写なの?とモヤモヤ。
極めつけは初監督作をそんなことで諦めるの?どーしよーもねーなと感じた。
現代パートでの脚本賞にしたってご都合主義過ぎる。触れられている所しかわからないが、脚本は今ではありふれた内容だし、どうしても丸く納めたいんだなと思った(その割には借金はなあなあ。賞金の30万ぽっちで返済が終わったとはとても思えない)
あと、最後近くの場面がコロナ禍の設定だったが、わざわざ会話するときにマスクを外させ、ソーシャルディスタンスと言っているのに顔を寄せて話し、映画館で大声を出すのは非常に不自然だった。役者の方の顔が見えなきゃ伝わらない、どうしても映画館で喋らせたいならそもそもコロナの設定を入れるのが間違っているし映画としての完成度を取るなら要らない設定だと思う(そこだけをどうにかしたとしても面白くないですが)
というかコロナ禍設定で映画館で死ぬ最後にするとか小綺麗に描いてるけどどうなんだとしか言えない。
志村けんさんの事もあるし、と軽い気持ちで観に行くのは正直おすすめしません。お金の無駄というか眠くなるorモヤモヤすると思われます。
この監督の作品が好きで思い入れがあるなら楽しめるのではないでしょうか。
全てが中途半端のご都合主義。一番描きたかったのは古き良き映画制作現場での青春時代を再現したか懐かったと言う事でしょうか。どうせなら回想ではなくキネマの神様を完全させる作品にして欲しかったなと。その方が凄く面白かったと思います。沢田さんが監督、菅田は助監督で進めた方がね。正直な所、故志村けんさんが主演だろうと無かろうと関係ない作品でした。代役の沢田研二さんは、志村さんの言い回し、語句の切り方や仕草、間の取り方が志村さんの末期のコメディ番組で見ていた雰囲気が良く捉えられていて流石とは思いました。見ながら「あ~、これは志村けんだ」って思うシーンが会話中にいくつも出てきました。でも何故志村さんを再現するのか意味が不明でしたね。東村山音頭のシーンは本当に必要なかったし、沢田さんが個性を抑えている事自体が勿体なかった。脚本賞についても、現代では使い古されたネタで新鮮味はないのに賞を取ってしまうし。ラストの死ぬ間際の演出も「うわ~、やっちまった」で途中の描写が足りなすぎるから全てが唐突感を与えるのかな。唯一北川景子だけが、昭和の大スター女優の雰囲気を見事に出していて素晴らしかった。彼女無しではある意味成り立っていない作品だったと思います。