「満たされることのない承認欲」裏アカ まめもやしさんの映画レビュー(感想・評価)
満たされることのない承認欲
意図してかは不明だが、映画の内容、ひいては映画そのものが空虚に尽きる。アバンシーンの過剰な演出の一方で、SNSが主題にも関わらず、やり取りのメッセージはシンプル過ぎるテロップのみ、返信する主人公はなぜかモノローグである意図が分からない。テーマである“裏アカ”についても、表の生活との対比があってこそだが、表があまりにも薄いため、主人公の動機が理解できない。主演の瀧内公美はアパレル店長姿が違和感ない一方で、神尾楓珠は役柄が合っていない印象。ともに2021年公開の主演作(『由宇子の天秤』『彼女が好きなものは』)と比べると役柄を活かしきれていない。同様にSUMIREや市川知宏などの助演も存在感がある一方で、話にほとんど絡んでこず、花を添える程度なのがもったいない。TCP(TSUTAYAクリエイターズプログラム)作品は独創的な着眼点で注目しているのだが、本作は至って凡庸。“裏アカ”という言葉自体が目新しくもない令和で描く意味と、いろんな種類の“裏アカ”がある中で性的描写にしかフォーカスできておらず残念でしかない。
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