「【賞味期限と、生きている実感と】」裏アカ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【賞味期限と、生きている実感と】
真知子が感じる、世の中の女性に対する「賞味期限」のようなものが、ゆーとが言う「生きている実感のなさ」をいずれは自分も感じるのだと、切迫感のようなものに繋がったのではないのか。
だが、ゆーとの「生きている実感のなさ」は、似た者同士が共感しあう程度で軽減されたり、解消されるようなものではなく、真知子のゆーとや周囲との距離は更に広がり、孤独は深まっていく。
ゆーとは、無機質に様々ものを切り捨て、省みることなどない僕達の社会のメタファーだ。
そして、真知子の裏アカでの行為はより大胆になっていく。
真知子は何と関わろうとしていたのか、どこに自分自身を引き留めようとしていたのか。
生きている実感とは何だろうか。
自分とは異なる市井の人々を知ることなのだろうか。
ひたすら走り、吐くことで実感するのだろうか。
様々なヒントはあるだろう。
でも、答えなどない。
それが答えだ。
皆がひとり一人考え、仮に孤独であっても見出さないとだめなのだ。
作品としては、コンセプトは良いのだけれど、もう少しストーリーや展開に工夫が必要な気がするのと、演出がなんかいまいちのように感じた。
あれでは、瀧内久美さん、神尾楓珠さんが可哀想だと思う。
残念賞。
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