「大傑作!」無頼 Yukiさんの映画レビュー(感想・評価)
大傑作!
昭和史の裏側を、ヤクザの組長視点で描き出す。
完成したことが奇跡みたいな作品。
監督のオモテの世界(政界・財界)に対する痛烈な批判が、作品全体から観てとれる。まるで「オマエら温々と生きとるその世界は、儂らヤクザに支えられてキレイに見せられてんねんぞ」と、スクリーンからこちらに指を刺されているようだ。
ヤクザ、不良、被差別民…井筒監督が一貫して描いてきたこういった者たちへの眼差しが、一見すると渇いたバイオレントな世界観に暖かみをもたらす。
法や秩序の外に形成された、共同体としての人間関係(日本ではそれを「人情」と呼ぶ)をこそ、今も我々は大切にしなければならないのかもしれない。
間延びしているとかストーリーが無いとかいう批判も分からなくはないが、歴史の教科書に載る出来事の裏で、歴史から忘れられた存在が何をしていたのか、光と闇の対比という視点でぜひ観て欲しい。(その補助線としてオリンピックやロッキード疑獄のような記号が散りばめられているのだと思う。)
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