アンティークの祝祭のレビュー・感想・評価
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【裕福な老婦人が、人生を共にして来たアンティークを捨てる勇気を持った時に行った事。ラストシーンは切ないが美しく印象に残る作品である。】
■70歳を過ぎたクレール(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、意識や記憶が曖昧になってきたことで「今日の夜が私の最期の日」と確信する。 そして、長年集めてきたからくり人形や仕掛け時計などのコレクションをガレージセールで処分することにする。 これを知った娘・マリー(キアラ・マストロヤンニ)は、幼い頃、母の指輪を盗んだとなじられた事で溝が出来て来たが、20年ぶりに実家に帰ってくる。 ◆感想 ・”終活”と言う言葉が巷間で謳われるようになったのは、2010年頃からだったかと思う。 今や、一大産業にまで発展している。 ・今作では、”終活”をテーマとしつつ、過去、クレールが後悔を持ってきた事を過去譚として差し込みながら、彼女の人生の晩節を描いている。 ・マリーが、ずっと母から”盗んだ”と言われて来た指輪を木の根っこで見つけるシーンや、クレールが若き時に牧師から貰った睡蓮の花の絵などが、彼女のアンティークの象徴のように描かれている。 <ラストシーンは、哀しくも美しい。クレールが街を徘徊した後に自宅に戻り、紅茶を入れようと、コンロに火を付けるがそれが引火してしまい、豪奢な屋敷は炎に包まれ、彼女が愛した数々のアンティークが宙を舞うシーン。 哀し気な旋律のメロディが流れるが、実に印象的なラストである。>
終活
何一つとしてあの世には持っていけませんが、自分の想い出だけは持っていけるかなとずっと思っていました。でも認知症だと想い出も持っていけないか。想い出を噛み締めたまま死ねたら、あの世に想い出だけは持っていけそうな気がします。だから、ラストも含めてクレールの気持ちが凄く良く分かりました。
このラスト、残る
カトリーヌ・ドヌーブは、本当に素敵な歳の重ねかたをされているなぁ…。 愛らしくて仕方なかった。 ある一日の出来事と、アンティークに絡めた過去の思い出が描かれていることにより、 母と娘の関係性がすんなりと入ってきました。 すべてのシーンが大切に丁寧に描かれていて無駄がなく、 さらに、たくさんの素敵なアンティークたちに、ワクワクしました。 そして、このラストにはびっくりしたけれど、とても良い! なんだか、不思議な大人の童話を観た気分です。
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