「暴動を起こしたい、俺たちの暴動を」白い暴動 kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
暴動を起こしたい、俺たちの暴動を
トーキョー・ロックダウン前夜に、このパンクなドキュメンタリーを観てきましたよ!
70年代に英国で台頭した移民に対する排外主義。ナショナルフロント(以下NF)というヘイト政党が支持され始めていました。ロック界でもエリック・クラプトンが支持を表明。
(ボウイも「ファシストが必要」みたいな発言してましたが、ヤツはファッションで適当なこと言う癖あるから、個人的にはガチかは不明)
そんな中、ロック・アゲンスト・レイシズム(以下RAR)という団体が立ち上がり、パンクやレゲエといった音楽でヘイトに闘いを挑みます。本作はその軌跡を描いたドキュメンタリーです。
もうね、NF支持者は現在のヘイト連中とまったく同じ。経済の先行き不安が強まると、不安に耐えられない人たちがダークサイドに堕ちていき、ガチのヘイト狂信者に煽られてその勢力と危険性を増していく。めちゃくちゃ既視感がありました。
ヘイト軍団は「スキネッズ」と言われるスキンヘッドにしたグループに属していることが多いようでした。共通ファッションで連帯感を高めている点は、現在のネット右翼どもとは毛色が違うように感じました。モッズとかテディボーイズとか、イギリスは自分の所属するトライブでファッションを合わせる傾向があるのかも。
あと、警察は絶対に排外主義を支持しますね。とにかくポリどもは市民の異議申し立てに対して抑圧する性質があるのでしょう。まぁ権力に深く考えずに従うタイプの人じゃないと務まらない仕事なのかもしれません。
そんな連中にRARは音楽やアートで対抗します。特に音楽はちょうど台頭してきたパンクや、イギリスに渡ってきた黒人たちのレゲエが呼応していき、運動が徐々に大きくなっていきます。
RARは結構暴力を振るわれます。アクティビストのすごいところは、ちゃんと暴力を乗り越えていくところですね。屈服しないですから。
圧巻はラストの反ヘイトを掲げた10万人のデモ行進&屋外ライブ!我らがクラッシュやトム・ロビンソンバンドといった反ヘイトバンドだけでなく、NFにも支持されていたシャム69も参戦!俺もシャム69は右翼バンドだと思い込んでいたけど、彼らは労働者階級の代弁者的なバンドで、RARにも理解を示していました。
そして大ラスに鎮座するクラッシュの『白い暴動』のカッコ良さといったら!シビれた!シビれて死んだ!そして蘇生した!最高ですわクラッシュ!マジでカッコよかった。シャム69のフロントマン、ジミー・パーシーも共演していて、それも熱かった!
以前、「フジロックに政治を持ち込むな」という声が上がり、ちょっと炎上したことがありました。これは現在日本で起きていること考えると、さもありなんと感じます。
結局我々はポップカルチャーを政治と切り離して楽しんだ結果、政治がリアルから遠のき、リアルじゃねえ連中に政治を任せることになっているのかもしれません。
どうやら現段階では、ミニシアターの補償はされない様子。このような政府を作ったのは、政治という生臭いものをポップから遠ざけ、闘争から逃げた我々の責任だと思っています。
とは言え、当初外されていたセックスワーカーへの支援が再考されたりと、声を上げることで変化は起き得ると思います。また、やがて来たる選挙で、よりマシな動きをした政党に投票することもできます。これから映画館文化を守るための動きも出てくると思いますし、実際アップリンクはアップリンククラウドで寄付プランも立ち上げています。そういう動きに参加するのもポップ政治活動だと思います。
現在のような危機的状況は、古い価値観が死に、気づかれなかった価値観が再生するチャンスでもあると思います。多くの人たちが(自分も含め)、より意味ある生き方を模索する変化の時期に差し掛かっているのかもしれません。それぞれの闘いから目を逸らさない生き方ができると、世界はもう少しマシになるかも!
白い暴動
俺は暴動を起こしたい
白い暴動
俺たちの暴動を
The Clash "White Riot"