あの頃。のレビュー・感想・評価
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ドルオタに捧げるではなくドルオタ“だった”人に捧げる映画
アイドルオタクを描いた映画ということで、ドルオタの僕はワクワクしながら見に行った。
確かに、あやや(アイドル)と初めて出会った時の感動や、あややとの握手のシーンなど共感できるところは様々あった。
オタクのイベントもまぁありますよ。(個人的に行ったことはないが)
それでも、現役オタクの僕にはどこか真剣を首筋に突きつけられているかのような感覚があった。
それは多分こんなことを言われているかのように感じたからだろう。
「お前いつまでオタクやってんだよ。今楽しいかもしれないけどお前の人生は前に進んでないぞ。早くオタク卒業しろよ。」
もしかしたら監督はそんなことを言うつもりはサラサラないのかもしれない。
オタクに対して最大限の敬意を持ってくださっているのかもしれない。
しかし、作品を見る限り伝わってくるものは早く前に進めという言葉のみであった。
なぜだろう。
まず一つあるのは剣のように自分自身、今の状態じゃダメだというのを頭の奥で悟っているからかもしれない。(もちろんアイドルオタクでも立ち止まらず夢に向かって歩いてる人がいることも添えておく。)
そして、もう一つは剣の人生にそこまでハロプロが寄り添ってないように感じるからだ。
ハロプロは剣に何を与えたのだろう?
“仲間”だけ??
剣の人生の転機にアイドルはいたんですか??
途中から剣とハロプロの接点が全くなくなってしまったように感じた。
オタ卒(オタクを辞めること)したならしたでそのまま最後まで貫き通せばいいのに最後に申し訳程度に道重さんが出てきたり。
結論としてはオタ卒した人がこの映画を見れば「あ〜あんなこともあったなぁ」と懐かしくなれるかもしれないが現役オタクの僕には正直辛かった。
この映画を見てオタク楽しそうだな、オタクになりたいな、そう思う人がいるだろうか??
多分いないと思う。
余計にアイドルオタクって「内輪ノリで、互いに傷舐め合って・・」というような偏見を受けないだろうか。
正直僕は客観的に見て「オタクキモ」と思ってしまった。
これは今泉監督作品の特徴でもあるが撮り方が全体的にリアルで、沈むような感覚でアイドルの華やかさアイドルを推す事の楽しさということが伝わってこなかった。
良かったのは、役者陣の演技とハロプロの音楽くらいかと
前半と後半の落差が…
ポップな『佐々木、イン、マイマイン』
生きてさえいれば
平坦。緩急なし。
「うーーん、まあ良かったのかな」という気持ちで映画館を後にしました
今泉力哉監督とTwitter
ラストカット引っ張り過ぎ 音楽に合わせるなかれ
今週は「すばらしき世界」かこっちかでちょっと迷ったが2年前の「愛がなんだ」があまりに良かったのでくだらないとは思いつつ今泉監督を選んだ。ハロプロに特に思い入れは無いのだが「桃色片思い」という楽曲に少し思い出があり映画を観つつつくづく感じたのは秋元48一派と違ってやはり関西ノリなんだなということ。日常会話にボケツッコミがあるのはもちろんだがちょっとした小芝居がすんなりできて受け入れられる土壌があるのだ。高校の文化祭といえば教室ごとに吉本新喜劇的芝居小屋がずらり並んでいたことを思い出させてくれた。作品的にはちょっと残念。ナチュラルなアドリブ芝居を引き出しつつ切り返しの細かいカット割りが今泉監督の持ち味では無かったのか?引きのワンカットで観せてしまうのは違う。
挫折を乗り越えるためには自分の「好き」を見つけること
生きがい、喜び、仲間、そして別れ。好きなものに夢中になることで得られる学びが詰まっている映画だった。
アイドルを好きになって、仲間と出会い、共通の話題で盛り上がる時間は大変麗しいものである。
しかし、アイドルは必ず引退する。
このままじゃいけないと思いながらも、応援してきたアイドルを、仲間との絆を失いたくないから手離したくもない。
そんな主人公、劔の葛藤を描いた描写に共感する部分が多かった。あややの壁紙を剥がそうとする瞬間に小泉が訪問するシーンは特に印象に残った。
最後にはオタクを卒業?して、一度諦めたバンド活動に復帰し、
「今が一番楽しい」という言葉まで言えるようなった劔の人生は素晴らしい。
ただ、もう一度バンド活動に向き合う一歩を作ってくれたのは紛れもなくあややであり、オタク仲間なのだ。
人生の困難を乗り越える上で、好きなものを持っておくことの大切さに気づかせてくれた作品だった。
青春に年齢は関係ない!!
私はアイドルに関して興味ゼロなのですが、若手実力派の松坂桃李さんの演技を拝見したく鑑賞しました。すごいなと思った部分はまず出てくる人物がどれもインパクトのある人ばかりで、逆に松坂桃李さんが浮いていているのが目立ちました。
中でも強烈なコズミンという威勢はいいがヘタレな男で、主人公の劔やヲタク仲間に対して悪態をふるまう。最初ヤなやつだと思ったが、後半、コズミンに「ある不幸」が起きてしまい彼に対する哀愁が一気に押し寄せてきました。作中彼は男としてやってはいけないことを犯すわ、ネットで暴言吐くわでどーしようもない男なんですけど、本当にヲタク一筋で孤独な人を貫いた人でした。
松坂桃李さんも結構思い切った演技をするなぁと思ったシーンは、ステージで手錠にブリーフ一丁のシーンが強烈でした。これを見たとき、「くだらねぇことやってるけど真剣だぞ」という制作側の意思が伝わってくる瞬間でした。他にも失恋した時や、年上のヲタク仲間との会話の取り方が上手くて、社交性を磨く勉強にもなりました。
雰囲気が懐かしくて、共感できるシーンが随所にちりばめられているので、気分転換に最適な映画でした。
予備知識なしで鑑賞しましたが、オタクの物語でもあるけれど友情や繋が...
予備知識なしで鑑賞しましたが、オタクの物語でもあるけれど友情や繋がりをテーマにしているのだと感じました。
2000年前半のハロプロを始め松浦亜弥ブームは今となっては懐かしいものです。
オタクあるあるを期待すると裏切られるかもしれません。
人によってはドン引きするかもしれません。
推しがきっかけで人生が幸せになることだって当然あります。
その逆もしかり。
登場人物に個性がありすぎて、会話のやり取りだけで胸焼けしそうになりましたが、最後ああいうオチにするなら、もう少し捻りが欲しかったです。
期待しすぎないで見るくらいがちょうどいい。
命が尽きる前に何かやり残したことはないだろうか、と考えさせられる映画でした。
途中冗長なやり取りが続くので若干眠くなりましたが。
「あの頃」に妙齢だった人なら感じられるこの味わい。
期待していませんでしたが、観に行って良かったです。
「あの頃」を悲劇でもコメディでもなく、綺麗も汚いも全部、リアル過ぎる事も誇張し過ぎる事もなく、夢物語でないけれど、かといって人生の不条理を嘆くでもなく、ただただ描いたような映画です。
「あの頃」に間違いなくあったもの、いた人、あった空気。
押し付けがましいメッセージや哲学が盛り込まれることなく、ただそこにそれが置かれていった感じ。
だけど、薄っぺらじゃない。
深すぎず浅すぎず。
登場人物もまったく同じ印象です。
だから、俳優さんは逆に演じ辛かったのではないかと思います。
仲野さんとライブハウスのマスターの人、上手かったです。
欲を言えば、握手会のあやや、本物見たかった~。
(期待させてからの、あの、似すぎず違い過ぎずのアレ!やられました。)
あと、オタクさんの踊り?みたいなやつや、ハロプロのコンサート、もっと見れると思いました!
狙いの客層に私がドンズバだからなのかも知れないですが、とても満足できました。
俳優さんも含めて職人一人一人が丁寧に仕事した上での一体感とか、緩急の「緩」の部分も計算して作ってある感じが本当良かったです。
オタクあるある共感しました
太賀のキャラクター
映画公開5日目のレイトショーにて鑑賞。
127席のシアターで、まさかのお一人様。
えーっ???でしたが、1人シアターを堪能。
松浦亜弥ちゃんがデビューした頃、同世代。
こんなマツゲ上がってて、いつも驚いた顔してる人
は初めてみたなと当時思っていたが、久々に全盛期
のあややをみて、懐かしくなった。
ハロプロオタク+松坂桃李+仲野太賀
の予告に惹かれて、公開を楽しみにしていたが、
正直、もっと面白くできたのでは?と心にモヤッと
が残ってしまった。
主人公の桃李くんより、太賀のほうが何倍も面白く
て、正直これは太賀が演じたコズミンの映画でしょ。
そしてこのコズミンのキャラクターは、今まで太賀
が、ドラマや映画で演じてきたキャラクターを彷彿
させるような印象を受けた。
共通の好きなものがある仲間との出会い、繋がり、
くだらない事を言い合いながら、愛おしい時間を
過ごす様は共感できる部分もあったが、ラストがあ
んな感じになるのなら、もーう少し練って欲しかっ
たなぁ。
推しは強し!
「好きなこと」があるということ
冒頭の、劔が松浦亜弥と"邂逅"するシーンがとても印象的でした。友人から貰ったDVDをかったるそうにプレイヤーに差し込み、お弁当を食べながら映像が流れてくるのを待っていたところ、映像が流れ始め、劔の手はだんだんと止まっていく。割り箸はリモコンに持ち替えられ、音量を上げて、最初は何となく見ていた劔の目が真剣になっていく。その目からは次第に涙が溢れ、劔は玄関を飛び出し、アップテンポな音楽がBGMとして流れているなかCDショップへ自転車をかっ飛ばしていく。そしてそれを背景にして『あの頃。』というタイトル。「これから始まるんだ!」というワクワク感が演出されていて、映画の導入部としては完璧なものだったと思います。
個人的な話で申し訳ないのですが、冒頭の劔のような状態は僕にもありました。劔は好きだったはずのバンド活動が嫌いになっていき、「では、自分は一体何が好きなのか?」という疑問で頭がいっぱいになっていたと思います。僕の場合は部活動のサッカーだったのですが、「あれ?自分って好きでサッカーやってるんじゃなかったっけ?」と一度疑い始めてしまうと、もう止まりませんでした。何をしても楽しくなく、世界が真っ暗でした。僕の場合は、たまたま入った本屋で心から感動した本と出会ったことで、この窮地から脱することができたのですが、もし出会ってなかったら…と思うとおそろしいです。「自分は何が好きなのか、何で心が安らぐのか」ということが分からないで生きることは、おそらく死ぬことよりも辛いことだと思います。
劔は松浦亜弥と出会い、ハロプロと出会い、仲間と出会うことで毎日が輝きだすのですが、僕がいいなと思ったのは、その仲間たちがそれぞれ「ハロプロと同じくらい大切なものを見つけ」、ハロプロから徐々に離れていき自分の人生を歩み始めていったところです。極端な表現かもしれませんが、いくらそれが素晴らしいとはいえ、やはりハロプロというアイドルは単なるidol(偶像)にすぎず、「今が1番楽しい」と思えるためには、偶像から現実世界へと視点をずらしてそこで生きていくしかないということをそれぞれが認識していったのだと思います。経験上、人は生きている現実世界がつらくてどうしようもないとき、前向きに物事を考えることは難しいと思います。そこで、いったんどこか別の"世界"に身を委ねる、避難することで心を落ち着かせる必要があるのです。劔はハロプロという"世界"に避難することで、本当に自分が好きなものはバンド活動であることを再認識することができたのです。僕の場合は、本の"世界"に逃げ込んだことで、文章を書くことの楽しさに気づき、将来は文章を書くことを仕事にしたいな、と今では思うことができるようになりました。今自分が生きている現実がつらくなったときには、一旦はそこから距離を置いた別の"世界"に身を委ねてもいいが、心が落ち着いてきて自分の方向性を把握したなら、その世界から抜け出して現実世界を生きるように、ということが、この映画から汲み取ることのできたメッセージの一つでした。このメッセージは、生活が豊かになりすぎたがゆえ、親のもとにパラサイトしていれば、大人になっても好きなことだけをする生活を、しようと思えば可能な現代社会を生きる僕たちにはとても刺さるものがあると思います。
P.S.
この映画は、テンポが良いものでは決してなく、117分がとても長く感じました。評価が別れるとしたら、そこが1つの分岐点になると思います。しかし、今泉力哉監督は今年の2月18日に「退屈なシーンがない映画はあまりつくりたくないな」とツイートしていますし、音楽には新進気鋭のシンガーソングライターの長谷川白紙を起用していることから、最初からテンポの良いものを狙っていないことが分かると思います。
ちなみに、僕が成長したからなのか性格がひねくれたからなのか分かりませんが、「泣ける映画」「笑える映画」というように、観る人に特定の感情を起こさせようと宣伝されている、「楽しさ重視」のエンタメ映画を、楽しめなくなった自分としては、この退屈感は良いと思ってます!
これは俺たちの話ではない
プロットとしてはよくあるやつ。
この手の話は、徹底的なリアリティを持ってまず登場人物たちをスクリーン上に「実在」させることが重要になる。
その点、同じく公開中の「花束みたいな恋をした」などはディテールに穴が無く大成功していると言える。
本作については、実話を元にした原作の映画化であるにも関わらず、どうにも乗り切れない。
特筆したいのはウルトラマンをネタにしたやりとりである。メインの彼らは2000年代に青春を過ごしていることから、ウルトラマンを観て育った世代では無い。一般教養の範疇外のはずである。
この年代の若者たちがウルトラマンをネタにすることは、よほど偏った嗜好の持ち主同士でなければ有り得ない。
劇中において数あるDVDやフィギュアの中に特撮物を少しでも忍ばせておくなりしてあればまだ理解できたかもしれないが、そのような匂わせ演出は無かったと思う。
ここで透けて見えるのは、「オタク」というものを一塊に扱っている感覚である。
これはあまりにも雑だし、登場人物の造詣がぼやけてしまう。「何かを好きになる」という普遍的なテーマを描くためには、登場人物のリアリティを持って観客の心を彼らの人生に乗っけることが不可決だが、個人的にはここで足掛かりを失ってしまった想いであった。
実在の人物なのかもしれないが、劇中に彼らは実在し得なかった。
そこから先はコントを観る感覚である。
もう一点、これは事実なのだろうから仕方が無いところだが、本作のメインキャストたちは自らの手でトークライブを主催し、一定のファンすら獲得しており、オタクカーストにおいて結構な上位に位置している。
活動に対する葛藤もあまり無い。
この事実は、彼らへの共感ひいては作品への共感に対する高いハードルとなっている。
なぜなら、多くの人にとっては「向こう側」の話だからである。
彼らは彼らとして、客席側にいるマジョリティの視点をもっと入れるとか、遠巻きに見ていることしかできないような寂しい俺たちにスポットを当てるなどの目くばせが至らないため、ツッコミの無いボケをひたすら見せられているようなメリハリの無さを感じてしまう。
独りでコンサートに来ていた女教師の物語こそもっと観せてほしいところである。
最後に、ついに主人公が憧れの松浦亜弥と対面することになる握手会において、そっくりさんを出したのははっきりと否定しておきたい。
松浦亜弥は存命の人物である。
本人を出せないのであれば、後ろ姿に止めるなど工夫して欲しかった。
最も盛り上がるべきシーンで、明らかに松浦亜弥ではない松浦亜弥を見せられたところでかなり興醒めしてしまった。
まさにコントである。
今泉監督は「執着」をテーマに描いてきた監督と言える。
そういう意味では本作は腕が鳴る題材だったと思うが、「愛がなんだ」のようなキラリと光る過去作と比べれば凡作と言わざるを得ないだろう。
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