「とても良かったです。」あの頃。 まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
とても良かったです。
若い頃に観たら、良さは半分しか分からなかったかもしれない。エモい。涙が出てしまった。
心底アホな内輪ノリ、しょうもない揉め事満載のオタクたち。しかし大好きなアイドルでつながっている仲間たちとの日々はかけがえのないもので、永遠に続かないからこそ、振り返った時によりいっそうキラキラ輝いて見える。
完全に気を抜いて、生ぬるーく鑑賞していたのに、それは突然訪れる。仲野太賀演じるちょっとクセ強めのコズミンに、「嘘でしょ…」「頼む、冗談だと言ってくれ」「いつまでもそのまま、ずっとずっと面倒くさい奴でいてくれよ…!」と願わずにはいられなくなる。
病気が分かってからも、淡々と、かなり抑えて演出しているところが非常に好感度高かったです。悲劇的な音楽も流れないし、ドラマチックな効果音も無いけど、だからこそ余計にリアルで残酷。よく聞いていると、病気が判明する前に低いベースのリズムとシンバルの音がずーっと鳴っていて、ちゃんと引っかかるように(印象に残るように)なっている気がする。
最後の方、ベッドで看護師さんにイヤフォンを付け直してもらった後も、何か言ってますね。看護師さんにありがとうと言ったのか、皆んなといつも歌った曲を口ずさんでいるのか…
いい歳した大人が騒がしいのって、側で見てるとイタいのかもしれないけど、今生きてること。今が一番楽しいと思えること。それがどれだけ眩しいかを知ってる大人の視線が全体を通して感じられるので、決してイタい映画にはなってない。人生短いんだ。いつも楽しい!って感じていたい。そう思わせてくれる作品だった。
あと、松坂桃李の衣装が絶妙に計算され尽くしていた。ちゃんとダサいんだが、バランス良くてお洒落で小綺麗。自分が思っていたより最近の映画だったので納得。(そして真っ白いブリーフがあんなに似合う俳優が果たして他に居るだろうか笑)
どうでもいいが松坂桃李と山中崇が一緒に仕事してると、タイミング的にどうしても「V IV A NT」が頭をよぎるなぁ。