「もはや無邪気に描くことが難しくなった、「あの頃」の特別な友人関係を描いた作品。」あの頃。 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
もはや無邪気に描くことが難しくなった、「あの頃」の特別な友人関係を描いた作品。
自伝に基づいた作品と全く知らなかったので、鑑賞中は主人公やその友人達のノリに戸惑ったり失笑したり。しかし後に、エピソードの多くが実話だと知って、さらに驚かされることに。男性達の、不謹慎さも含めた絡み合いと濃い(そして排他的な)人間関係は、特に最近になって、「ホモソーシャル」という概念が非常に否定的な意味合いをもって語られるようになった状況を踏まえると、もはやこのような関係も語りも成立しない、まさに「あの頃」の思い出なんだな、と実感しました。
原作者の劔樹人の名前も初見で、「神聖かまってちゃん」も知らず、さらにはモーニング娘。にも全く思い入れがなかったため、正直言って前半の作中の劔達の行動や熱意の源が理解できなかったけど、むしろこうした熱狂的なファンとしての描写は限定的で、後半からは「恋愛研究会。」の仲間達の関係に焦点が絞り込まれています。この誘導は見事で、前述のように「ないないづくし」の観客でも十分に感情移入することができました。劇中の松浦亜弥は、ファンでなくても分かるほどそっくり!
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