「奥田民生にしか見えん」あの頃。 せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
奥田民生にしか見えん
パッとしない人生を送っていたつるぎが、ある日松浦亜弥に出会い、ハロプロオタク仲間と共に青春の日々を送っていく話。
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私もジャニーズオタク(今はもうオタクとは言えるほど熱は無いかも)なので、前半はとにかく共感しまくり。オタクやってたから友達もできたし、遠征行ってたくさん思い出もできた。なので私もあぁ、"あの頃"は楽しかったなぁと思って一緒に見ていた。
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そんな楽しいオタクムービーだと思っていたら後半、プライドが高くて、スケベで、ネット弁慶な嫌なやつだったコズミンが末期ガンというのが発覚し、雰囲気が変わってくる。
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コズミンはずっと変わらずそのまま死に行くんだが、それがめっちゃ『佐々木、イン、マイマイン』みたいだなと思った。宇多丸さんが『佐々木』の評の中で、成長するとはいろんな可能性を切り捨てて1つの道に進んでいくことで、佐々木はその手前で永遠に留まり続ける存在というようなことを言っていた。
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コズミンも病床の中でもずっと変わらなかった反面、つるぎはいろんな選択をしてどんどん成長をしていき今を楽しんでいる。コズミンって、誰でも持っている自分の嫌な面を全て体現している存在のような気がして、その面は大人になるにつれて無くなったり変化していったりすると思う。
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劇中に卒業コンサートのシーンが出てくるように、私たちも何かを切り捨てて(卒業して)、前へと進んでいく。変わらずに死にゆくコズミンは、嫌なやつだった自分との別れということなのかなぁと思った。
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ずっと変わらないことが楽しいんじゃなくて、変化した先の今が楽しい。なんだけど、学生の時の友達に会うと変わらないねとよく言われる私は死ぬのかな?と思いました(笑).
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ちなみに、山中崇さんが途中から奥田民生にしか見えないので注目です。何気に1番歌が上手い大賀さんも。