「アイドルオタクだって青春する」あの頃。 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
アイドルオタクだって青春する
原作は未読。主人公が松浦亜弥をきっかけにハロプロにハマり、仲間とともに過ごした日々を描いた物語。
あややにハマり、元気をもらい、仲間を作り、共感を得て、周りにも伝えようとしていく姿はとてもよかった。アイドルにハマるってことが自分にはなかったのでその熱量がこんなものなのかなとも思ったが、ステレオタイプのアイドルオタクっぽくしたくなかったのかもしれない。ただ、主人公が自分の部屋で「桃色の片思い」のMV観て静かに涙するシーンはなんかよかった。何かにハマる瞬間ってこういうもんなのかもしれない。
原作が自伝的作品らしいので、エピソードを積み重ねただけになっている印象なのは仕方ない。あの仲間たちがとった実際の行動からあまり逸脱はできないからそれほど大きな感動が待っているわけではなかった。そういう作品なんだと割り切るしかない。
作品に流れているのはオタクたちのアイドル愛。でもそれだけでなく、大阪人のなんでも笑いに変えてやろう精神が本作の根底に流れている気がした。少し行きすぎなところもあるが、それで救われた話もある。ニヤニヤしながら観てしまったが、嫌悪感を示す人もいるかも。
最後に演者。やはり仲野太賀がよかった。めっちゃ嫌なヤツで、金に汚くて、意地が悪くて、スケベで、プライドが高い、けれどもなぜか周りから見捨てられない男を熱演していた。この手のコメディには欠かせない俳優になった。そして松浦亜弥役の山崎夢羽。あのシーンは顔は見せずにごまかすのかと思ったら、普通に松浦亜弥役として出てきて立派にあややを演じていた。松浦亜弥役としては右に出る者がいない女優だ(他にそんな役の作品なんてないだろうが)。あ、でも松浦亜弥主演作で若い頃を演じさせるってのはありか。