「孤独で賑やかな老婆の一人暮らしの余生」おらおらでひとりいぐも 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
孤独で賑やかな老婆の一人暮らしの余生
2020年映画館鑑賞119作品目
原作未読
夫に先立たれた一人暮らしの孤独な老人の日常や思い出話や妄想
冒頭が作品内容とかなりギャップを感じ会場を間違えたかなと思ったが正解だった
のび太の新恐竜みたいな感じだ
主人公日高桃子は大昔の古代時代の生き物に造詣が深いその道のオタクなのだ
この設定が重要でそれが退屈させない要素の一つ
予告編は面白かったが本編はそうでもない
そもそも題材が広い世代から世間一般的に星5とか星4になりにくいものだから仕方がない
お年寄り以外は共感できるのは稀だろうし
わりと演出はいろいろと工夫しているからその点は楽しめる
ナイトクラブのようなムーディーなところでクソ周造などと歌を歌う妄想が面白かった
だからたとえ冗長でも居眠りすることはないし寝たとすれば作品のせいではなく寝不足が原因だろう
年寄りの話が苦痛に感じるか楽しめるかで評価は分かれるはずだ
僕はどちらかといえば後者の人なのでこの映画の評価はそれほど悪くない
主人公日高桃子は岩手県遠野市出身で親が決めた結婚が嫌で上京し食堂で働いていた時に周造と出会い結婚するわけだ
夫に先立たれた妻なら普通は生き生きとして同じように高齢な女たちと付き合って習い事とか共通の趣味を見つけ残りの人生を楽しむんだろうけど桃子は違う
行きつけの図書館で司書に大正琴とか太極拳を誘われても断ってしまうのである
若い頃は蒼井優が演じている
彼女の演技力だけでもお金を払う価値がある
新しい女を目指すが平凡な主婦平凡な母親に落ち着く
子供時代は当然子役だがコタツでかくれんぼしていたらズボンに火がついて火傷してしまう
あの火はCGだろうか
まさか本物だろうか
『吉原炎上』で着物の背中部分に火がついてて慌てて川に飛び込む無名な女優が印象的だったが本物ならそれ以来の衝撃
今の田中裕子は旬
夫はジュリーというよりただのジジーに成り果てたが田中裕子は輝いている
子役と蒼井優と田中裕子の3人が並ぶシーンがあったが小林綾子田中裕子乙羽信子の3人が並ぶおしんの写真を思い出した
今回の山中崇は医者役だが原始人の特殊メイクまでしている
その時のセリフはセリフであってセリフではなく『北京原人』の本田博太郎を思い出した
寝起きが六角精児って本当に嫌だな
桃子の心の中の声ともいえる寂しさトリオ
予告編でクドカンと濱田岳が演じるのは覚えていたがもう1人が思い出せなかった
トリオだとそういうことはよくある
アリスだってキャンディーズだってうしろ髪ひかれ隊だってそう
青木崇高だった