「大いなる鬱屈」ゾッキ Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
大いなる鬱屈
なんちゃって自分探しの旅に出る青年も、性に悩む高校生や少年も、サンドバッグで殴っている相手は敵か己か分からなくなる中年も、皆、生の鬱屈の中で人生を続けます。しかしその鬱屈も、海辺に近い田舎の温かい淀みの中で、何となく何となく薄められていきます。
「明日からちょっと、楽しくなる」が、このシネマの売りのようですが、実は「明日からとにかく、生きていける」の方が腑に落ちます。
本人たちは死ぬほど必死でも、側から見たらそれは朝晩の挨拶やギャグぐらいにしか見えないのです。
そうして生きれば生きるほど、旅を続ければ続けるほど、心に気にしていたことも、生きる目的さえもほとんど忘れて、幸せになっていくのです。
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