「一番得したのはホテル」エルヴィス bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
一番得したのはホテル
エルビスで客寄せ。支払ったギャラは大佐からカジノで回収。すげー集客・回収システムw
エルビス・プレスリーと言う、偉大なアーチストへの個人的な思い入れが全く無い世代です。ボヘミアン・ラプソディを引き合いに出されてもですね。そもそもプレスリーの曲とか数曲しか知らない。Somethingを唄っていたのは記憶にありますし、TVで芸人が物真似してたのを覚えてる程度。
要するに、スルー態勢に入ってたんですが、長すぎる待ち時間にちょうど良くハマったのがコレだけだったので鑑賞したと言う、最近のあるあるです。
兎に角、映画としてのクオリティの高さに感動した。特に冒頭の音楽に乗った息も継がせぬ展開の素晴らしさ。画も音楽も演出も編集も、高密度で精細にして緻密。この粒度の高さでオシオシに押してこられて、寄り切られたw
メンフィスのブラック・ミュージックを白人が演る。まぁ、ジャンルは違えども、ジャズを白人が演奏する事、それ自体に難癖付ける日本のオッサンは多かったし、「マイルスデイビスは黒人じゃない、あれはダメだ」なんて言う日本人は少なくなく。日本でもこれですから、当時のアメリカの反感の凄さは想像がつきます。で、そこを、腰を振って女子を虜にして押し切ったと。いやぁ、そうですよね。Queenだって一番最初に飛びついたのは女の子たちだったもん、日本じゃ。
マネージャーの借金でホテルに縛り付けられたエルビス(と言う演出)。それは、エルビス自身が観客からの愛を求め続けたがゆえ。つまり、エルビスは自部自身で檻を作っていただけなのだと。
人は愛を求め続ける生き物なんでしょうか。と言うか、自分自身は、いまのところそうでもなくって、愛はなくても話し相手がいてくれればいいや、なもんで。他者からの愛を求め続ける人の物語りには、率直に言うと、悲哀なんてのを一番最初に感じてしまうのでした。
良かった。とっても。