「エルヴィスの映画はたくさんあるけれど、間違いなく傑作!」エルヴィス Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
エルヴィスの映画はたくさんあるけれど、間違いなく傑作!
子供の頃から憧れ続けたルーツロックのレジェンド、エルヴィス 今までさまざまな視点の映画がつくられてきたけど、こんなにも深く、ディテールに拘って、エンタメに仕上がった作品はなかったですよ!さすがムーラン・ルージュのバズ・ラーマン監督。
黒人音楽のゴスペルとR&Bを融合したROCKは、エルヴィスの本能がなければ生まれなかったし、今僕たちが聴いている音楽さえ変わってたかもしれない。パンクもヒップホップも、若者から起こるムーヴメントにはかならずREBELがあって、その最初の瞬間を目撃ではなく体験できるのです。
数々の伝説シーンと、そこにいたエルヴィスの想いがリンクして、エンタメなのにずっと涙が止まらなかった。写真でしか見たことのないテネシーの初ステージ、何回も映像を観た68カムバックスペシャルやラスベガスツアー、アロハフロムハワイなどで、当時のオーディエンスのように感動できたし、エルヴィスの意気込みに涙腺が緩んでしまいます。
42歳の若さで謎の死を遂げたキングオブロックンロールの優しさと哀しさがリアルに響いてきて、僕の記憶にある今までの伝記映画が全て陳腐になってしまいましたよ。
監督がこだわり抜いたディテールで、その時代にすっとタイムトリップできる映画マジックも堪能。50年代から70年代の時代背景に合わせたトーンやファッションやセット、映像手法や演出まで変えているのがすごいです。あとねマニアックだけど、バックバンドミュージシャンの弾き方や楽器まで、完璧に再現していましたよ。
そして子役時代からディズニーチャンネルで鍛えられた主演のオースティン・バトラーは、オスカーも狙える名演でした!顔は似てないけど、全ての世代のエルヴィスの仕草や癖まで研究され尽くしていて、この役への意気込みが半端ない。
オリジナルはもちろんだけど、ドージャ・キャットやマネスキンなど今をときめくアーティストのカヴァーや、サンプリングのサウンドトラックもカッコいい!キングを今の時代にイマジネーションした楽曲が、作品の質を上げている。
さまざまな書物を読んで、パーカー大佐の人物像は知っていたけど、人間味に溢れた描かれ方をしているのはよかった。名優トム・ハンクスの妙です。話にはなかったけど、エルヴィスが逝ってしまった翌日に凄まじい量のグッズやレコードが用意されていたり、不可思議に死後も儲け続けたパーカーもまた、ミステリーに包まれているんですよね。
もしかしたら彼は、苦悩に満ちたエルヴィスを、葬儀というフェイクで逃したのかもしれない。生存の確実な証拠に約3億が支払われるという懸賞金までかけられてるKINGだから、そんな思いを巡らせるのも楽しい。
もうねこの作品の魅力が書ききれません。劇場であと3回は観る。どうしようもない世の中で、幅広い世代にキングのLOVEを伝えてくれてありがとう😊