劇場公開日 2022年7月1日

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「大佐がとっても気持ち悪いです。」エルヴィス BONNAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5大佐がとっても気持ち悪いです。

2022年7月2日
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鑑賞方法:映画館

久々のバズ・ラーマン監督作品。毎回、絢爛豪華な絵巻物を観ているかのような感覚にさせてくれる監督ですが、今回は1950-1970年代の文化をベースに比較的落ち着いた色合いで展開してくれたように思います。
個人的にこの監督の作品で一番気になるのが音楽ですが、まあエルヴィス・プレスリーの映画なので。彼のルーツとなる黒人音楽(R&B)と彼自身の楽曲を大胆に現代風にアレンジしながら、うまく取り込まれていたかと。

さて、肝心なストーリーですが。

率直に申し上げますと、トム・パーカー大佐withエルヴィスみたいな話です。いや、むしろほぼ大佐の方が主演ですね。
要するに、この謎のオランダ人がどれだけエルヴィス・プレスリーという大スターを生み出すために貢献したかが、一人語りのナレーション含めて延々と語られます。

はい。これが大変気持ち悪いです。

どれくらい気持ち悪いかと言えば、もうこれは実際に観て実感するしかないので言葉にするのは難しい話ですが、演じているトム・ハンクスが嫌いになりそうなくらいの気持ち悪さです。
ざっくり言うと『才能のある若者を自分の懐に囲い込んで食い潰そうとするおっさんストーカー』。
帰宅してからトム・パーカーの写真をググりましたが、あそこから0.2mgの辛うじての爽やかさを削って湿地帯の陰湿さを上乗せしたような感じです。
要するにめちゃめちゃ気色悪い。
主演のオースティン・バトラーがエルヴィスの特色を引き継ぎながら、歌唱シーンと外観含めかなり色気のあるエルヴィスを好演しているがために、ビジュアルの落差が悲鳴を上げたくなる意味でやばいです。無論、この映画に出てくる数多の女性達みたいな、歓声を上げる意味での悲鳴じゃないです。恐怖の方です。

エルヴィス・プレスリーの生き様をダイジェスト版として知ることの出来る映画ではありましたが、なんて言うんですかね。エルヴィスが気持ち良く歌っている場面に、突然現れる大佐のドヤ顔。台無しにすんなと映画館で絶叫したかった私の気持ちをいろんな方と共有したい。

BONNA