「凄絶でそして切ない。。!」エルヴィス リボンさんの映画レビュー(感想・評価)
凄絶でそして切ない。。!
名前だけは知っていましたが、あとは有名な曲のフレーズを少し知っている程度だったので早速見てみました!!
いやとにかく凄絶。駆け抜けた人生だったんだな、と。そして新しい音楽や新しいステージのスタイルに、なかなか時代のほうが付いていけてなかったという、黒人音楽を受け入れられない白人社会と闘わなくてはいけない白人、という稀有な存在だったと初めて知りました!
ブラックミュージックが自分の音楽のルーツである白人青年。。おそらく日本人の自分の想像以上に大変な時代背景の中で、燕尾服などには屈せず自分のスタイルを貫き直して、原点に戻っていけたことは良かったし、そんな彼の人生を映画を通してでも見れて良かったです。最後の最後は当時のライブ映像でとても嬉しかったです。
ただ途中で思ったのは、尾崎豊さんもそうですが、1ステージに込める魂の熱量が凄くて、そんなに毎回ステージごとに魂を削っていったらそれは体力的にも続かない、大丈夫なんだろうかこの人。。と思っていたらまさか42歳という若さで亡くなってしまったなんて。。!若い、若過ぎる。残念。。
最後のステージでは多少太っていたにせよ立っていられずに座って歌うという姿は、まだ42歳にしてはかなり疲れきっている印象でした。だから本当に最後の最後の力を振り絞って歌っていて、なんだか切なかったです。
お母さんの死でもわんわん泣き、奥さんには出ていくと言われて止めるけど行かれてしまい階段にうずくまっていて。。お母さん、妻、愛する人達がそばから居なくなってしまう時の彼の姿が切なく、
妻と空港でほんの少しの間、乗ってきた車の中で過ごした数分が、彼にはもっともっと長く続いてほしいと思ったんだろうな、と思った次の場面が、最後のステージ。そこでの歌は「君の愛がほしい、必要だ」っていう内容で。。これを渾身の力を振り絞って歌うからもうより一層切なく感じました(泣)
エルヴィス役の俳優さんは、若い時は痩せた彼を、だんだん売れていってより大人になっていくにつれカッコ良さはそのままにほんの少しずつ体を大きくし、
でもそこまで太ってはいない、ボディスーツというか、あのピッタリしたステージ衣装は映えるけれども痩せっぽちのままではない姿へと変化させていく演技力、体型の変化のさせ方は見事でした。
少しずつもみ上げも作り、どこかで見たことのある「皆が知っているあのエルヴィス」がスクリーンに存在していました。
そしてトム・ハンクスがまーあ嫌なマネージャーのおっちゃんになっててビックリしました!(笑)
ちょっと待ってついこの前、リバイバル上映でアポロ13の責任感のある立派な宇宙飛行士の姿に感動したばっかりだったのに〜!エルヴィスの稼ぎの50%も取った??本当に??許さんぞ悪徳マネージャーめ〜〜!!と、見事に今日の映画の影響を受けました(笑)
少年に近い、売れる前の若い青年時代に恩を受けたマネージャーには、クビにしようとしても何を言っても結局エルヴィスの琴線に触れるウィークポイントを知ってる人だから、若い時と同じようにやはり言いくるめられてしまうのがもどかしくて。
とにもかくにもエルヴィスの姿をかなり再現してくれたと思うし、最後の本人のステージ映像もあり見応えのある作品でした!!!