「ザ・ジョーカーの系譜を継ぐ新たなバットマン」THE BATMAN ザ・バットマン 木神さんの映画レビュー(感想・評価)
ザ・ジョーカーの系譜を継ぐ新たなバットマン
スパイダーマンの如く様々な世界線を確立したバットマンシリーズ。現行作品では他作品ヒーローと活躍してるアフレック主演のがあるが本作でまた新たな世界軸を構築した。1989年のから悪評轟くMr.フリーズの逆襲に、ベール主演の3部作まで見てきた身としては正直な話ベール主演作品以降のバットマンシリーズは腹一杯だった、だがジョーカー的な雰囲気を醸し出していた本作で再びバットマンへの鑑賞意欲が再燃。
直接の続編ではないが、雰囲気や空気感は予想通りザ・ジョーカーの意思を継いでおりそこに派手なアクション要素をバランスよく取り入れて従来のアメコミ映画らしさが戻っている。ただ暗闇から恐ろしいBGMをかけつつ重々しい靴音を響かせヌゥッと現れるバットマンは軽くホラー。
ヒーロー活動2年目のバットマンがまだ世間に浸透してない…というか頭がおかしい扱いなのが良く考えればそりゃそうだと少し笑ってしまったが、夜ごと悪党をしばき周ってるとんがり耳付きの真っ黒アーマーを着込んだ陰湿男がやがてダークナイトと世間に認められていく展開はすごく惹きこまれた。
本作の悪役リドラーも中々に魅力的、悪役に違いないがやってる事は殺人以外バットマンと同様世直し、この殺人の有無がバットマンとヴィランを決定的に分け隔てる重要点であり、バットマンの危うさも同時に表現されている。また彼の犯行をバットマンが辿る中でゴッサムシティに溢れる闇が明らかになっていくのだが、その展開が実質共闘してる構図になっているのも面白い、それにしてもつくづくゴッサムはヤバイ都市である、そこは昔からそうなのだが、近年は酸鼻を極まる腐敗ぶりでもはやこんな都市に住まう人々が凶行に走るのも止む無しと思えてしまう。
カーチェイスと終盤の最終決戦は本作最大の見どころ。バットマン活動が浅い故かバットモービルもかなり粗削りなデザインながら悪党とのカーチェイスはシンプルに派手、悪役からみたら凄い怖いだろうなバットマン。最終決戦はそれまで復讐に固執していたバットマンが真のヒーローへと成長したと分かる重要シーン、まだまだ未熟な部分もありながら懸命に戦いそして人々を救助し、最後には泥だらけになるのだが、その姿がとてもカッコイイ。
ヒーローとしての何たるかを見出したバットマンが今後どのような活躍をするのか・・・続編も是非映画館で見に行きたいと思う。