「仮面を剥ぐ」THE BATMAN ザ・バットマン しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
仮面を剥ぐ
通常スクリーンで鑑賞。
コミックは未読です。
正直、またバットマンか、と…。個人的にダークナイト・トリロジーが最強過ぎるので、DCEUのバットマンはイマイチだったし、今度はどうなるのかと期待半分不安半分…
ダークな雰囲気はそのままに、ミステリーの要素を取り入れて、ダークナイト・トリロジーとの差別化を図ろうとしていたのが良かったです。それは見事功を奏しているな、と…
活動を始めて2年目のバットマン、と云うのがミソ。
道半ばで殺害された父親の意思を継ぎ、ゴッサムを変えるために闇の騎士となった若きブルース・ウェイン。
夜な夜な悪と戦う彼の心は復讐に染まっており、未熟故の危うさを常に孕んでいるようでハラハラしました。
そんなバットマンに挑戦する、怪人リドラー。ゴッサムの嘘を暴くと豪語し、連続殺人の現場になぞなぞを残す…
ギャングの大物ファルコーネやその腹心ペンギン、キャットウーマンまで絡んだ謎解きゲームの行方にドキドキ…
敵の真の目的が明かされた時、怒涛のクライマックスへ―
我々が見ているものは、果たして真実か否か。信じていたものの仮面が剥がれ、拠り所が崩れ去った時、何に希望を見出すのか?―そこに守るべき価値はあるのか?―混迷する世界において、今最も問われていることではないかなと思いました。
復讐では何も変えられない。暴力はさらなる暴力を生み、終わりのない連鎖となって混沌が始まる。希望を見出だせないのなら、自ら希望となるまで。どれだけ腐った世界でも、正義が死なない限り、嘘は必ず白日の下に晒される―
ラスト、善人たろうと決意したバットマンが、夜を越え、朝焼けの光に照らされる姿に、不思議な感動を覚えました。
濃密なドラマとサスペンスが横溢した極上の3時間でした。
[余談]
たまたま「モービウス」に続けて観たので、勝手にコウモリ選手権開催。軍配は圧倒的、バットマンに上がりました。