「バットマンを掘り下げた作品でありエンタメ要素は少ない」THE BATMAN ザ・バットマン yotさんの映画レビュー(感想・評価)
バットマンを掘り下げた作品でありエンタメ要素は少ない
今作のバットマンは派手なアクションや派手なガジェット、惹き付けられる魅力的なヴィランはいません。
バットラングなんてテープとワイヤーを切るカッター代わりの使い方しかしません。しかも投げずに。
影の中からゆらり出てくるバットマンと独自の思考回路で犯罪を犯すリドラーのサスペンス映画です。
どんなバットマンを想定してるかで賛否別れる作品です。
事件の規模が小さく、必然的にキャラの掘り下げが多くなりますが無駄が無く、バットマンとは?について別の側面からのストーリーと新しいベクトルからのカウンターパンチがある映画です。
私は楽しめました。バットマンとしての動機、目的がいつも通りブレてきて、ここに今作最大のカウンターがクリーンヒットして余計ブルース・ウェインとしてブレる。このカウンターのためにこの映画を作ったのかなと思えるほど「そう来たかぁ」と喜ばせて頂きました。
ただ、★0.5の-もあります。
それはブルースの精神年齢が高校生くらいに思えた事です。
物事の分別や判断、自分の思考や意志が固まりつつあるが他人の指摘や評価、環境の変化を許容しきれず攻撃的になる所とか。
ウェイン家の評価は一切気にかけず、アルフレッドにすら噛みつく。反抗期か?
そう思ってしまったらなんかブルースの行動に変に納得してしまいました。
最後なんてチャリ帰りの高校生カップルかよ!?仲良く併走して別れた後ミラーで見続けるとかどんだけ名残惜しいんだよ!?初恋か!?だろうね!復讐しかないって言ってたくらいだもんね!って思ってしまいました。精神年齢が高校生で思春期だもんねしょうがないね。
以下、ネタバレ駄文。
面白かった!
バットマンから犯罪の枷を無くせばリドラーになる。
リドラーの動機も分かる。金持ちへの反抗だけどサスペンスな今作はそこがさらに拗らされてブルースに流れ弾の致命傷を与える展開なのも素晴らしい。
父が善人でゴッサムを良くしようとする夢半ばで倒れ、その遺志を継いで悪人を成敗してきたら実は父は善人では無かった。
このネタを通すために出来た映画と言っても過言じゃないと思う。
このベクトルのバットマンへの揺さぶりは想像できなかった。
あとセリーナ役のゾーイ・クラビッツ美人。
その後、youtubeでロバート・パティンソンのインタビュー見たけど「数あるバットマン映画はなぜバットマンになったのか?について書かれている。
過去を克服したバットマンだ。ならこれはバットマンになってから2年目で何も克服できてないバットマンだHAHAHA!」と笑っていた。本当に中身が子供のままのようなブルース像だったんだなぁと