「サスペンス風味」THE BATMAN ザ・バットマン だいんさんの映画レビュー(感想・評価)
サスペンス風味
今までのバットマンシリーズとは違い、かなりサスペンス色が強い作品です
対するヴィランがリドラーというのもあるのでしょうが、終始ゴードン警部補とのバディ物という感じの体裁で話が進んでいきます
そのためにシリーズではバットマンのサポート役を務めるアルフレッドの出番が非常に少なく、アルフレッドが危機に瀕するシーンでもあまり感情移入することが出来なかったのは勿体ないなと思いました
また、いわゆるシリーズのお約束や定番の登場人物とも言える部分の説明を省略しているためにシリーズを既知の視聴者には良いのですが、伝わりにくいのでは?というシーンがかなり見受けられました
その最たる部分がトーマス・ウェインの死に纏わる部分です
シリーズの視聴者なら誰でも知っているブルースの生い立ちではありますが、本作はブルースが“復讐”を理由にバットマンとして活躍する作品です
それなのに作中では復讐のきっかけとなるトーマスの死や孤児として育ったブルースの孤独などがあまり掘り下げられないため
せっかく話の核となっている復讐や、リドラーの目的などがフワッとした印象になっているのが非常に勿体なかったです
それと、今作は以前までのシリーズと違い、バットモービルなども含めてリアル感を出そうとしているのか、バットマンが空を飛ぶシーンがほとんどなく、あってもムササビ染みた飛び方というやや情けない姿なのはちょっと反応に困りました
書き出すと悪い点ばかりが出て来てしまいますが、それでもショットガンやサブマシンガンすらも弾く強固なスーツによるバットマンのアクションはかっこいいですし
バットマンでありながらブルースとしての側面を放棄しているバットマンというのも良かったです
復讐を胸に戦っていたバットマンが同じ行動理由の人間を見て自分の過ちに気づき、暴力では何も解決しないことを悟り、日の光の下で人を助けるという
シリーズ1作目のラストにしてはかなり明るい終わり方なので、次回作で彼がどうなっているか非常に楽しみです