「怨念の落ち武者感」THE BATMAN ザ・バットマン nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
怨念の落ち武者感
異様な殺人事件の犯人を追うサイコミステリーや、街の暗部に迫るノワールサスペンスや、復讐にとりつかれたハードボイルドアクションなど、様々なテイストが混ざり合って入る印象です。
正直、大まかなストーリー展開は、既視感があるように思ってしまいました。
刑事ものの世界観の中にバットマンが入ったような、警官たちのいる事件現場で証拠品を確認するバットマンの絵面は、何だかシュールで面白かったですが。
バットマンの登場シーンなどのホラーなテイストは、恐怖の支配や復讐心が際立ち、良かったと思います。
暗闇からズシャリと重い足取りで現れる様は、ヒーローというより地獄の使者。
個人的には、怨念の落ち武者のようだなと。
バットモービルも、カッコよさよりも恐ろしさが。
あの重低音は、映画館ならではの味わいかと思います。
悪人成敗のためとはいえ、女性をおとりにしたり、バットモービルで執拗に追いかけたり、ヒーローとは言い難い行動。
それが変化してゆき、悪への復讐のためではなく、人を救うために行動するクライマックスは、やはり胸が熱くなります。
恐怖の象徴ではなく、希望の象徴になることを示唆するような。
ヒーローの在り方、ヒーローへの成長の物語として、やはり好感が持てます。
ロバート・パティンソンのバットマン、微妙な不安定さを湛えたような演技も良かったと思います。