「地に足の着いたヒーロー映画」THE BATMAN ザ・バットマン のむさんさんの映画レビュー(感想・評価)
地に足の着いたヒーロー映画
DCコミックスの実写映画は、良い意味でマーベルとすみわけがなされてきたなと感じています。マーベル映画もとても楽しく見させてもらっていますが、正直あの映画の世界に自分はいないような感じがあります。よくも悪くも「フィクション」。ある意味「ファンタジー」のようにも見えていました。
しかし、「ジョーカー」や本作は、私たちが生きる現実の延長線上にあり得そうな、大きなリアリティを持って私の前に迫ってくる感覚がありました。他のレビューにもありましたが、バットマンが一般の警官の中に混じって事件現場に立つシーンや、名もない消防士と同じように災害救助にあたるシーンなど、まるで自分の隣にいそうな、魅力的なキャラクター表現がなされていました。
若いブルースと渋いゴードン警部とのバディものとして見ると「セブン」の二人を思い出し、セリーヌとの突かず離れずなやりとりは往年の「007」の、大人な男女の駆け引きを見ているようで、過去の名作との共通性も見出せるのではないかと思います。そういえば「ジョーカー」も「タクシードライバー」や「キングオブコメディ」との類似が見られますし、過去の名作との比較で鑑賞を深めることができるのも、本作が良作と言える理由なのではと思いました。
ただやはり、過去のバットマン作品を見ていないと、キャットウーマンやペンギンのキャラクターがはっきり立たないので、新規のファンを取り込むのは難しいと感じたので-0.5とさせていただきました。バットマンファンとしては新たな試みも多く、とても楽しめる作品でした。