「映像が格好良い」THE BATMAN ザ・バットマン 福島健太さんの映画レビュー(感想・評価)
映像が格好良い
僕は友人の勧めでクリストファーノーラン監督のバットマンを観たのがきっかけで興味を持ったもので、他の作品を全然観ていないので設定などには詳しくないのですが、とにかく映像が格好良かったです。
写真などで時々見かけるような対象にだけピントを合わせて背景を全部ぼかして見たり、雨の中を歩くバットマンの足元を映したら静かに歩いているのに雨水を蹴散らしていたり、バイクのヘッドライトがカメラ方向へ向いた瞬間に映像が光で一瞬白くなったり、暗闇で銃器を撃つ瞬間だけ銃火で当たりが照らされてシルエットが見えたり。
とにかく映像の表現が素晴らしく格好良い。
堤防が爆破されて街が洪水に飲まれたときに、バットマンが発煙筒のような物を焚いて火を灯して被災者に手を差し伸べる場面なんか、しびれました。
冒頭、駅の構内で復讐と名乗り、その後も度々復讐と呼ばれていたバットマンが、なんだか希望のように見えました。
バットマンは作中で市長の子供をじっと見ていたけれど、良い父親だと思っていた市長に隠された裏の顔があって、そのために市長は命を失い、取り残されてしまった子供。
ブルース自身も、善人だと思っていた父が実は殺人者だったという裏の顔が見えて、同じように父は死に、取り残された、市長の子供と似た境遇が明らかになったり、お話の内容としても良かったと思います。
物語の途中で、爆弾の爆発に至近距離で巻き込まれたり、警察署の建物の屋上から飛び降りたり、結構激しいことになっていたのにちっとも汚れなかったバットマンの顔が、事件後救助活動の手伝いでは真っ黒に汚れていました。
悪党にとっての恐怖であるように、闇に紛れて街を見張っていたのが、光の中で泥やススにまみれて人々に尽くすように変わりましたし、救助された女性がすがるようにバットマンのことを握っていました。
闇から光に、恐怖から希望に、バットマンの存在が少し変わったように思います。
お話としても良かったし、素晴らしい出来だと思いました。
ただ、普段2時間程度の映画ばかり観ているので、長くて疲れましたね。