「暗い、暗すぎる。だがそれがいい!」THE BATMAN ザ・バットマン SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
暗い、暗すぎる。だがそれがいい!
陰鬱とした暗~い世界観。救いがないストーリー。ひたすら暗い。だがそれがいい!
個人的にはほぼ理想のバットマンを観れた。
凝った仕掛けの連続殺人、犯人から提示される謎により殺人の動機を考えさせる展開、後追いさせられて犯人の思惑にはまってしまう主人公たち。
推理小説の型といえばそれまでだが、犯人の動機や世界観の暗さから、名作「セブン」を連想させられる。犯人の部屋が見つかったところとか、犯人がつかまっても終わらないところとか、やっぱセブンに似てると思ってしまう。
いくつも展開があり、「まだこのあと展開があるのか」と何度も思わされる。まるで12回くらいのドラマを観た感覚。でも飽きることはなくてずっと面白い。
刑事もの+マフィアもの+スパイものみたいな感じで、「これバットマンじゃなくてもいいんじゃね?」と思わないでもないが、よく考えたら、警察でもない正体不明の人物が武器を駆使して犯人追うなんて、ヒーローものじゃなきゃできないか。それで思い出したが、ペンギン追うときにめちゃくちゃな交通事故起こしてたけど、あれってバットマンは罪に問われないの?
ただ、「ジョーカー」と比べてしまうと、衝撃度は落ちるかなー、とは正直思う。終盤でブルース・ウェインが父親の罪に直面する展開では、「そうきたか!」と思ったけど、そのあと驚かされるところはあまりなかった。
なんでなのかなー、と考えてみると、やはり敵のリドラーの魅力があまりなかったからなんではないかな。街の中枢にいる巨悪(権力者たち)の罪を暴いていく、というのは、むしろ主人公側がしなければいけないことなのでは?と思ったほどなのに、最終的に単なる私怨のサイコパス野郎の小物として処理されてしまったのはもったいなかったんではないか。
「ネズミ」(裏ボス)の正体も引っ張りに引っ張ったわりに、驚きもないし、大物感もなかった。
ずっと謎が提示され続けるストーリーって、最後の最後に謎が解明されるとき、すべての未処理の伏線が一気につながって、「なるほどそういうことか!」ってなるところが気持ちいいのに、そういう瞬間もなかった。
しかしやっぱバットマンの世界観はいいなー。味方も敵も特殊能力を持ってるわけじゃなくて、あくまで人間、というのがいい。このバットマンは世界観的にジャスティス・リーグには参加できなさそうだけど。
そういや、ジャスティス・リーグシリーズの続編はもうこれで作られないことは確定なのか…。バットマン変わっちゃったから。アベンジャーズみたいに展開したかったのだろうけど、失敗してしまったということか。
バットマンは色んな人がやってると今回初めて知りました。前のもよかったです。でも今回のは心に沁みました。まだ慣れてない、プレーボーイなんてとんでもない、できない。黙々と。好きなタイプのバットマン🦇