「Noir in the Batman」THE BATMAN ザ・バットマン こじろうさんの映画レビュー(感想・評価)
Noir in the Batman
マット・リーブスが描く新たなバットマン。
ガムテープを引っ張る音から始まるファーストトレーラーの重々しい雰囲気。期待に胸を膨らませずにはいられなかった。
バットマンとなり2年が経つブルース・ウェイン。
執事アルフレッドとの関係性も若干ギクシャクしたまま、街の秩序を守っていた。
そんな中、彼はある犯罪調査を始める。なぞなぞを使って世間を翻弄するリドラーが起こした事件だ。そこから浮かんでくる犯罪組織の実態。そこへキャットウーマン=セリーナ・カイルの登場。少しずつ真相が明るみになる中でブルース自身に関わる過去もまた浮き彫りになっていく、、、。
私が知ってるブルース・ウェインというキャラクターは表の顔は心優しい性格で世界屈指の大富豪かつ慈善家で、様々な美女との浮名を流すプレイボーイ。裏は闇の騎士・バットマンとして悪人に容赦せず、犯罪と戦うという二面性を持つ。
歴代の作品でも描かれていた部分ではあったが、本作ではやさぐれに近い態度で周りを寄せ付けず、憧れを抱かせない影を落とした人物として登場している。
これにより殺伐とした雰囲気が延々と3時間続くノワール作品に仕上がっていた。
互いの正義や信念のため、相棒となるキャットウーマンや警察組織唯一の協力者ゴードン刑事とのやりとりはある種のハードボイルド小説の様な雰囲気も見受けられた。コミカル要素は一切なし。
とはいえガジェット、バットモービル、バットケイブなどこれぞという要素は惜しげもなく取り入れているので、これぞバットマンという醍醐味は存分に感じられる。
今作のメインヴィランであるリドラーについては、冒頭の出方でギョッとする出方をした以外はあまり惹かれるところはなかった。というのも、特殊メイクの完成度があまりに高いコリン・ファレル演じるペンギンの方が悪役感満載で、それに食われてしまったかなという印象を受けた。
それ以前にジム・キャリーが演じたリドラーの方がインパクトが強く、ビジュアルもイメージとかけ離れてしまっていたためだ。
何より、ダークナイトで魅せたヒース・レジャー版ジョーカーの不気味さ、狡猾さ、カリスマ性には及ばない。
最後アーカムでリドラーが知り合う、高笑いするジョークまじりに話すヤツが果たして今後どう出てくるのかを期待しつつ、ヒーロー映画に欠かせないヴィランを今回の唯一のマイナスポイントとする。
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