「過去最高最凶にイッちゃってるバットマン」THE BATMAN ザ・バットマン regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
過去最高最凶にイッちゃってるバットマン
先行配信されたマイケル・ジアッチーノの劇伴が随分ダニー・エルフマンっぽいなと思ったら、映画本編もエルフマンが劇伴を担当したティム・バートン版バットマンっぽかった。バットマンとヴィランは表裏一体というテーマはバートン版の特徴でもあったけど、こちらはその要素を高め、かつバートン版のゴシックテイストをゴッソリそぎ落とし、より陰湿でダークに。殺人をしないだけでヴィランと行動原理が同じという現実を突き詰められ、もがきあがくバットマンは、おそらく過去の映画版よりも常軌を逸した最凶ぶり。
約3時間のランニングタイムは、『ダークナイト ライジング』も2時間45分あったんだし、特に冗長とは思わず。ノーラン版の最大のダメポイントだったアクションのコレオグラフィーもちゃんとしていたし、ゴードン警部補とのバディ感もこれまでに無かった切り口で楽しい。
まぁ最後の最後までリドラーにしてやられるバットマンは情けないなと思わなくもないが、今回は刑事ミステリーなので、金田一耕助が被害者の数を止められないのと同じと思えばいい。ヴィランに関してはリドラー役のポール・ダノが最高で最狂。かたやペンギンがデ・ニーロにクリソツすぎて笑った。ひょっとして当初はデ・ニーロに役をオファーしていたのか?
ヒーローはフィルムメーカーによって色んな解釈ができやすいが、中でもバットマンはその自由度が高いと思う。とどのつまりバットマン大好き人間としては、今後も色んなバットマンを映画化してほしいもの。