「最高に面白かった」マトリックス レザレクションズ Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
最高に面白かった
「ザイオン」は「アイオ」と名前を変え、機械と共存し、農作物まで作る。
ネオたちの物語、戦いの「記憶」はモーフィアスの石像がそうであるように、長い時間をかけて徐々に風化されつつある。
アイオの人々は新しい生活に馴染み、自由を取り戻しつつあるように見えるが、彼らの心はまだ解放されていない。ナイオビの発言は「愛」ではなく「保身」だった。そして若い世代がそれをつまらないものとして察知している。
また、マトリックス内のネオやトリニティーも過去の「記憶」を失っている。
「記憶」から切り離された2人はそれぞれゲームクリエイターと主婦という偽物の記憶を与えられ、それが真実だと刷り込まれながら生活している。
過去の出来事はプログラミングで制作されたゲームという位置づけだ。
アナリストは男には社会的成功を、女には家庭を与えていれば目覚めないと高を括っているようだ。
記憶を回復することは、自分が何者かを思い出すこと。過去、現在の全てを統合して未来に働きかけ扉の向こうの自分に繋がること。それがアップデートだ。
私たちは一人ひとり、アップデートするために存在する。社会的に成功するためや、誰かの世話をするために存在するわけではない。
女性を揶揄するティファニーという名前を付けたのは冗談だとか、ネオにこの女をコントロールしろとか、虹色(多様性)に塗ったらどうだと言ってヘラつくアナリスト。この旧い強力なプログラムがボコられたのにはスカッとした。
映画が死に、物語も死に、もはや猫動画しかニーズかない現代で監督が取り戻したかったものとは。観る人の解釈に委ねられる。
だけど全てはパパとママの愛から始まるってこと。