「言いたい事は分かるけどエンタメとしてはちょっと退屈」マトリックス レザレクションズ デッカー丼さんの映画レビュー(感想・評価)
言いたい事は分かるけどエンタメとしてはちょっと退屈
まず本作を楽しむ為には前提として以下が必要だと思います。
・マトリックス過去三作を観ていて言わんとしている事を理解している事
・ウォシャウスキー監督が当時男だったけど今は女性に性転換している事
・昨今の社会情勢
マトリックス過去作では、我々が観ているリアルだと思っていた現実は実はフェイクで、プログラムされていた、そして愛の力で平和を手に入れた(だいぶ端折りました)と言うお話でした。
またウォシャウスキー兄弟は性転換手術をし、女性になり生まれ変わりました。
いわば今までの男性の姿は心と入れ物が違った状態で、それが今は正されたと言うことになります。
そして昨今、LGBTQや多様性の時代と言われるように、古き時代で語られていた男は〜すべき、女は〜すべき論は恥ずべきものになりつつあります。
上記を踏まえて本作を振り返ります。
大きなストーリーとしてはネオが再びマトリックスの真の姿に目覚め、トリニティを救い出し、2人で超人になって終わると言うなんとも簡素な話ですが、ラナウォシャウスキーが女性として生まれ変わり、新たなストーリー(ソース)で活躍すると言う意味がある気がします。
またマトリックスの時代、配給の都合もあり、基本的には主人公は白人男性で、女性は添えられていた状態でしたが、本作はアジア系女性、黒人女性、トリニティと女性が活躍し、ネオは今回あまり凄いところはないです(飛べない等)。
ナイロビ将軍が言うように古くはザイオンは戦争の事ばかりを考え滅びたとしていますが、アイオはITテクノロジーとバイオテクノロジーでこれまでとは違ったライフスタイルになっていっています。これは現代でいう、衝突を避け(人種差別などを無くして)共闘して進んでいくことが進化に必要な事だと言う揶揄だと思います。
キアヌリーブスが極度のラーメン好きと言うこともあって覚醒前はラーメンをすすっていたり、ウォシャウスキー監督の日本好きが炸裂していたり、過去作のキャストがしれっと登場していたりと、分かる人にはテンションが上がる要素が随所にありますが、少し説教くさいところがあるのと、置いてけぼりを喰らうところ、展開が読めてしまうところなどが少し残念でした。