劇場公開日 2022年2月23日

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「ヨネックスさん、惜しいことしたね」ドリームプラン あっきーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ヨネックスさん、惜しいことしたね

2022年2月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

アランチャ・サンチェスとの決戦に挑むヴィーナスの手にはウィルソンではなくヨネックスのラケットが!ここで10年契約ぐらい結んどけば今頃はR22を超える大ベストセラーが生まれてたかも。惜しいなあ。
それはさておき、この人やチチローなど稀有な成功例の陰に数多の悲惨なケースが隠れていると思うと素直に共感はできない。生まれる前から計画作ってたって、それ子供の才能を伸ばしたいとかでなく子供で一攫千金を狙った極悪山師ってことだよね。児童虐待で通報されるシーンは感動的に描かれてるが、あれだけのパワーを得るにはかなり辛いトレーニングも無理強いされてたはず。あそこまで深い家族愛で結ばれてたとは考えにくい。結果論で父親を立ててるだけなんじゃないの?
不思議なのは経験者でもないのになぜ黒人が活躍しづらそうなテニスを選んだのか。実際彼女らのデビュー時にはプレーの優雅さとゲームの組み立てを楽しむという美しき紳士(淑女?)協定をぶち壊しに来た野蛮人、と見えなくもなかった。何せ球が速すぎて組み立ても何もないんだよ!ダブルスでは遠慮なくボディショット打つし、パパの教えなのかバックハンドまでオープンスタンスで叩き込むんですから。だがこれが黒人の身体能力の高さがまだ発揮しきれていない新規市場としてテニス界を選んだのだとしたら、教育論はともかく恐るべきマーケッターなのかもしれん。
…などとあれこれ批判を垂れつつ、ラストシーンのヴィーナスコールには涙がドバッ。青天井の契約金には口アングリ。「報われたね」と喝采を送る自分。やはりサクセスストーリーはサクセスしたもん勝ちなんだなあ。
蛇足だがゲームシーンはこれまで観たテニス映画で最も迫力があった。キャストの鍛錬もあるが独特の低いカメラアングルが奏功してるのかも。WOWOWも真似してみたら。

あっきゃん