「ウォーレン夫妻の悪夢の旅」死霊館 悪魔のせいなら、無罪。 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ウォーレン夫妻の悪夢の旅
悪魔は古きもの
死霊館ユニバースはこの作品が初見でした。新鮮な恐怖感への期待をもって観賞。本作はアトラクションホラーが売りとのこと。
一つのホラー作品としては、昔の写真や古い家屋、埃にまみれた地下などが呼び起こす悪しき記憶と、忌まわしき悪意が匂い立つ。新しいものより、古いものの方がやはり悪魔にふさわしい。
ホラー最初の山である、妖異が姿=顔を現す瞬間は、部屋の中での青年との直対だった。神経質そうな男性に見えたが、女性。
ホラーは声や影や体の一部で煽っておいて、正体をなかなか見せないのに、ここは、割にあっさり顔を見せてくれた。でも女性が極めて静かだったことで、恐怖は維持された。
乗りはいいけど凶悪なロッカー
意味ありげに波打つウォーターベッドは、地味なシーンながら激しい胸騒ぎがしました。
そして、話の最重要シーンとなる襲ってきたオッさん。超乗りの良いロッカーから、その動きのまま膂力たっぷりの怪物に変身して、アーニーを襲う。彼女ともども食い尽くされそうなパニック! 幻想と分かったとしても、オッさんをやっちまいますね。
悪魔を祓う勇者は行く
心臓をやられても、悪魔祓い師の矜持を失わない夫(痛々しかった)と、死者や魔女の意識に潜り込んでいく妻。しかしロックを背景に車で夜の田舎道を飛ばすウォーレン夫妻の姿は勇ましく、悪魔の祭壇を目指す勇者の雰囲気まで漂ってきた。
妻は魔女の中に入って彼女の目的を確かめ、少年の記憶や、殺された女子高生の死体の記憶を辿って旅は続く。
薄暗い屋敷の階段も森の中も、既に妻の意識の中のように思われて、このシリーズの手慣れたホラーの手腕なんでしょう。
元神父が真っ暗な地下室でランプの灯りを頼りに、娘の古い写真をウォーレンの妻に見せる。そして昔語りの中で元凶を明かすシーンは、スタイリッシュで、とても格調高い。
金槌振り回す夫も、身体が曲がってしまう青年も、最後は人と人の愛で救われる。ここには特に秘術は絡まない。ラストまで至れば、シンプルも悪くないです。
悪魔の事実
さて。
「事実にもとづく」とありますが、40年ほど前、悪魔の存在の有無が弁護理由になったと言うのは本当だったんですか? 確かめていないけど。
ロックを踊り続けた男に「悪魔による」狂気=殺意が生まれて、それがために青年も責任能力を失ったならば、死刑を免れると判断するのは非常識ではなかった!!
しかし、そのお陰でウォーレン夫妻の活躍を見れたので良し。