「手で5万ウォン!」悪の偶像 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
手で5万ウォン!
精神障害を持つ親の気持ち、原発について、中国からの移民問題、色んなメッセージ要素がありながらも肝心のストーリーが謎だらけで終わっている印象。ハン・ソッキュ演ずるミョンヘ議員が息子のひき逃げ事件を何とかしようと裏工作。被害者と一緒にいたはずの新妻リョナを被害者の父親と加害者の父親が双方向で追う展開のストーリー。
久しぶりにもやもやしてしまいました。最も謎だったのが、死体遺棄をしたのは議員自身なのか息子ヨハンと一緒だったのかという点。弁護士にひき逃げだけなら執行猶予付きと言われていたのに、死体遺棄が加わると重罪になると教えられてから自殺を図ったところ。父が息子に死んでくれれば助かる!みたいな夢を見ていたことから、二人の共犯だとは思うのですが、真実は闇の中。この点が引っかかってしまい、主役がリョナに移ってからも、気分が晴れないままでした。
中国からの移民で偽装結婚によって韓国人になろうとする女性リョナ。ところが中国でも人を殺しているし、徐々にサイコキラーへと変貌を遂げていく。それでも義父にあたるジュンスクは孫欲しさによって彼女を韓国に繋ぎ止めておくことを考え、やがてミョンヘ議員の罪をも知ることになるが、互いの利益のために駆け引きするのだった。
「アイドル」とは誰のことなのか?それぞれの立場でみても様々な捉え方ができそうなのですが、個人的にはジュンスクのまだ生まれぬ孫が正解かと思ってました。ただし、妊娠中のリョナの子は父親が息子ではない。それを知っての上で、孫を授かろうと、息子の代わりに愛していこうと決意したに違いない。しかし、そんな夢もまたリョナのサイコキラーぶりで破れてしまい、市民の英雄たる李舜臣の銅像を爆破させるに至った・・・なんとも悲しい結末。
最も心に突き刺さるシーンは、ジュンスクがミョンフェの応援演説を行ったところ。メモを忘れてしまったために息子への愛情をたっぷり語るところは哀しみに満ちていた。何もかもが上手くいかない。僅かな希望は孫だけを手元に置くことなのだが、どうなのだろう?また、マイナス全てを選挙に生かそうとするミョンフェの野望も面白かった。