「ヘロンの公式」劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ヘロンの公式
へ、ヘロン?サリンを文字ったような名前の化学兵器、毒ガス。2001年の西新宿テロ事件で使われ死者21人を出したという。関係者は逮捕され、首謀者は死刑。しかし捕まっていない残党もいるとのこと・・・
『オーロラの彼方へ』(2000)の無線によるタイムパラドクスを参考にしたであろう作品だが、元は韓国ドラマの「シグナル」。現在の刑事三枝警部補が拾ったバッテリー切れのトランシーバーが決まって23時23分に過去の大山巡査部長のトランシーバーと繋がるというもの。ちなみに彼らが使うトランシーバーは同じもの(下に貼ってあるニコちゃんマークが目印)だ。
どうしても観たくなって、あわててドラマ版を視聴したおかげで、すんなりとストーリーに馴染めました。見どころは大山刑事と三枝の関係、大山に密かに恋する桜井といったところか。ドラマ版では三枝のプロファイリング能力と記憶力が際立っていたものの、今劇場版では封印され、むしろアクションの方に重点がおかれていたようだ。
また、連続殺人犯や三枝の兄に関わる集団暴行事件がメインだったのに対して、今作では政治的な要素が中心。テロリストの使った化学兵器の残りを政治家が利用するというものであり、警視庁と警察庁(ここでは警視庁公安部)との深い対立としがらみも描いていた。そのプロットが骨太であることから、タイムパラドクスやクライマックスのホテルはオマケみたいなものだと感じた。ドラマでも桜井(吉瀬)は一回死んでいるし、大山(北村)なんてこれからも何度死ぬかわからない。もう過去の人でいいじゃん!!と斜に構えていたのに、いい結末が待っていた。ちょっと泣いたよ・・・恥ずかしい。
それにしても過去を変えたところで生き返る人と生き返らない人がいるんですよね。大山はどうなるんだ?と、この作品でもファンがやきもきする仕上がりになっています。もしずっと続編が作られるとしたら、大山は生き返って、その代償に三枝自身が消えてしまうんじゃないでしょうか。大胆予想です。
鑑賞前まではレビュータイトルを“23(兄さん)23(兄さん)キム兄さん”にしようと思っていたのに、映画のタイトルバックに“23:23”が無くなっていた!思わずヘロンの公式にしてしまいましたが、巨悪の政治家を一人倒したところで次の巨悪がすぐに現れる。つまり三角形の辺aが政治家、bが公安、cをテロリストとしたら、その面積が求められるという普遍性が見られる・・・などとこじつけてみました。