「「パブリック」コメント」パブリック 図書館の奇跡 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
「パブリック」コメント
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公共図書館におけるいわゆる“ホームレス問題”はアメリカだけの話ではなく、日本でもある程度の規模の自治体ならおそらくどこでも抱えている事案だ。それは広く公衆に開かれている施設である以上、必然でもある。排除すれば糾弾されるし、放置すれば苦情が殺到する。
この映画は実話ベースの話かと思っていたら、落としどころの奇策に至ってそうではないと判明した。エンタテインメントとしては快哉を叫ぶラストなのかもしれないが、どうもはぐらかされた感が強い。収監されて寒さをしのぐというのでは、根本的な解決にはならない。
仮に規則どおり閉館時間に強制的に退出させて、翌朝また図書館前で凍死者が出たら、改めて対応が非難されていただろう。往々にして行政はそうなってから初めて対策に乗り出す。ならば、要求としては急遽収容施設を用意させる、もしくは例外的に一晩だけ図書館泊を認め翌日以降別の施設を手配させるのが最良の策だったのではないか。交渉過程があまり合理的でないように思えた。
やたら博学のホームレスがいたが、一日中図書館で読書しているホームレスの方が、本を読まない一般人より賢いというのはあり得る。
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