「真面目! すごく、よかった。」パブリック 図書館の奇跡 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
真面目! すごく、よかった。
極寒の米国シンシナティ、閉館時刻を過ぎてもホームレスたちが「ここにいさせてくれ」と帰らずに占拠した。巻き込まれた図書館員が、警察との交渉を任される話。
いやあ、面白かった。前半はエンタテインメント的に面白かった。そして後半は、2極化するアメリカ、新自由主義という言葉のもとで、よりいっそう虐げられている底辺層の人々を描く社会派映画として、面白かった。終わってみれば、"真面目" だ。めちゃくちゃ真面目だ。真剣に考えた。
底辺層が自ら呟く「連中にすりゃ、怠け者の集団さ」というセリフが強烈。「失業したのが運の尽き、さ」という言葉が全てなのだろう。そこからホームレスまで転げ落ちてしまうアメリカという国。
政治家にもマスコミにも投げかけられる「ショーは終わりだ」という厳しいセリフ。自分の名声とか視聴率のために、底辺層の話をするのはおしまいにして、真面目に話そう、という意味だろうか。
転げ落ちた人々が、あまりの寒さ、死と隣り合わせの寒さから、我が身を守るために声をあげと、というのがこの映画だが、巻き込まれる図書館員の経歴が工夫されていて、彼らの代弁をするところが、この映画の工夫かな。これによって、観ている俺たちが、どう考えるかを問われる。
ホームレス達が言う「存在を伝えるか、黙るか」だ。ホームレスの存在を知ってはいるが、彼らがものを言わないことをいいことに、考えることすら怠っているのではないか。自らを、振り返らされる映画だ。
ここでも「怒りの葡萄」だ。セリフでは「米国では、小学生の必読書よ」と言われていたが、「21世紀の資本」でもその映画が流れていたように、今現在、資本主義の中にいる者は、忘れてはいけない内容なのだろう。自分も未読なので、この夏に必ず読もう。中学生の課題図書みたいだな。
looking for miracle (奇跡は、見つかりますか?)という映画なんだね。皆で考えて、見つけたいよね!
CBさん、コメントありがとうございます!
「怒りの葡萄」は読みたいとは思うものの、なかなか機会に恵まれません。それに俺の部屋でホコリまみれになってる日本文学全集もあるし・・・
そんなときには映画!
「怒りの葡萄」も映画がありますよ~