「雫と聖司の愚直でピュアな恋と夢追いの物語」耳をすませば みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
雫と聖司の愚直でピュアな恋と夢追いの物語
本作は、スタジオジブリの名作アニメ「耳をすませば」の主人公2人の10年後を主軸に描いた作品である。物語はアニメ版で描かれた中学校時代と10年後を往復しながら進んでいく。アニメ版未見でも十分理解できるストーリー展開になっている。遠距離恋愛中であり、共に夢に挑んで懸命に生きる主人公2人の姿を通して、人を想うこと、夢を追いかけることの大切さが心に響く佳作である。
本作の主人公は月島雫(清野奈菜)と天沢聖司(松坂桃李)。舞台は、中学校時代、互いの夢を目指し10年後の再会を誓った二人の10年後の1998年。聖司はイタリアに渡りチェロ奏者として着実に成長していた。一方、雫は、出版社に就職し編集者として悪戦苦闘しながらも、コンクールに挑んでいたが落選の連続で、夢を追いかけること、聖司との関係にも迷っていた。迷いを断ち切るため、雫は意を決しイタリアにいる聖司に会いに行く・・・。
雫の中学時代を演じる安原琉那の映画初出演とは思えない演技が光る。本への憧れ、聖司への想い、女友達との恋バナなど、瑞々しくストレートで外連味の無い感情表現でリアルな雫を好演じでいる。青春真っ只中という感じがして心地よい。今後の出演作に期待したい。
夢を追いかけることは素晴らしいと謂われるが、現実は厳しい。雫は、作家になる為にコンクールに挑み続けるが結果は出ない。中学校時代、夢に挑んでいた時の心の音も聞こえなくなっていた。雫と再会した聖司も心の音が聞こえないと吐露する。順調に夢を追いかけているかにみえた聖司にも迷いがあることが分かる。
聖司は帰国し、雫に自分の想いを素直にぶつける。雫もそれに素直に応える。聖司も雫も迷いが消え、本当の自分を取り戻す。そして、再び夢と恋を追いかけていく。
名曲・翼をくださいが効果的に挿入され作品に青春の風を吹き込んでいる。本作は、雫と聖司の愚直でピュアな恋と夢追いの再生物語である。観終わって、清々しい気持になる佳作である。
コメントありがとうございました。
(お返事がすっかり遅くなり申し訳ありません。
この映画は、私でも素直な気持ちになる映画でした。
誰よりも真っ直ぐなみかずきさん。
アニメ「耳をすませて」のレビュー、心に沁みました。
10年前を演じた安原琉那、
みかずきさんが仰る通りとても良かったですね。
10年後の雫が失ったもの
無邪気さとか分かりやすい熱血、そして3枚目キャラ。
なにか2人の雫の対比がとても良かったです。