「現代人が未来に行って戦う映画、意外になかったかも」トゥモロー・ウォー 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
現代人が未来に行って戦う映画、意外になかったかも
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「戦国自衛隊」(1979)や「タイムライン」(2003)など、現代人の集団が数百年も前の時代にタイムトラベルして当時の戦いに巻き込まれる映画はあったが、召集された現代人の即席部隊が30年後の未来でエイリアンと戦う本作「トゥモロー・ウォー」はその逆パターンと言えそうだし、このような設定の作品は意外に作られていなかった気がする。
別の観点では、人類対エイリアンの戦争という筋で「エイリアン2」、タイムトラベル・戦闘・親子の絆といった点では「ターミネーター」「ターミネーター2」など、ジェームズ・キャメロン監督の初期代表作の諸要素をつまんでうまく一本の映画にまとめたという見方ができるかもしれない。
ただまあ、物語の情緒的な部分はクリス・プラットが演じる元軍人のダン、その娘で30年後には大佐になっているミューリ、そしてダンの父のジェームズ(J・K・シモンズ)と、3世代の家族の絆に負うばかりで、他のキャラクターは話を進めるためだけの記号的存在にとどまっており、ストーリーに深みがないのが物足りない。ホワイトスパイクと呼ばれるエイリアンのCG描画はなかなかの実在感で、俳優たちと一緒に写っているショットでのなじみ具合も悪くないのだが、戦闘のシークエンスは日中の屋外など明るい場所で展開する時間が長く、暗闇で敵を見えにくくして恐怖をあおる演出もないので、何やらエイリアン相手のシューティングゲームのプレイを延々と見せられているような気分にもなった。
お金のかかったB級映画、と割り切って楽しむのがちょうどいいいのかもしれない。
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