エイブのキッチンストーリーのレビュー・感想・評価
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親になるのも、親を失くすのも大変
料理って、食べる人のこと考えながら作ると思うんです。
どんなふうに食卓を囲むのか。
それを考えながら作るのが、楽しみでもある。
料理好きなら、たぶんあるあるだと思うんだけど。
だから、自分が考えたような食卓にならなかったとき、料理の味とか、出来栄えとかよりも、空間が台無しだったとき、ほんっとにがっかりする。
エイブは、食卓で何かが変わったらと考えたんだろうね。
とにかく、楽しく食べてほしい。
うん、それね。
で、この家族にはただの不仲みたいなこと以上の、根深い民族の問題がある。
でも、食を介して、自分が何かできないかなと、頑張るわけです。
美味しいご飯は、人を笑顔にする力がある。
子どもの思いに勝るものなど、ないでしょうね。
「人はきれいになる前に、汚くなるのかな」
チコが仕掛けた、お皿洗いの修行も、エイプはしっかりと学んだわけです。
汚れたお皿を見る目が、愛おしそうだ。
食いしん坊さん必見!
「食いしん坊さん!いらっしゃい」的なグルメ主張だけでは無く
集い、食卓を囲めばそれぞれの国の宗教や伝統を主張し常に対立し揉める家族
そんな家族を得意の料理でまとめようと奮闘する12歳のエイブ…
彼の師匠になるブラジル人シェフも含め
食を通じて多様性な現代を描き表している
とにかく主人公エイブが健気!
対立する家族の中でも
それぞれの国の習慣や行事をとりあえず試したり参加している姿が何とも微笑ましい…
料理を心の拠り所にしている彼の温かな成長物語でもある
勿論!お腹が鳴りそうなグルメ要素も満載!
欲を言えばフュージョン料理のレシピや種類を120分超えでも大歓迎なので
もう少し見たかったかなぁ😁
…「アーニャはきっと来る」も公開間近のキラキラな⭐︎⭐︎ノア・シュナップ君の快進撃が今後も楽しみですね!
◎
パレスチナ系の父とイスラエル系の母を持つエイブは自分は何を信仰すべきか、自分は何人なのか、自己のアイデンティティとは何か日々悩んでいた。ただひとつ自分について分かっていることは料理が大好きということ。
そんな料理を通して、何事も"フュージョン"が大事ということを学んでいく。
この映画は宗教問題が核になっている社会派だけれども、演出のおかげや料理とのフュージョンによって非常にマイルドになっているため観やすかった。
ストーリーや展開自体は予想がつくというか、割と平凡なんだけど、ポップな演出でテンポよく進んでいくので観ていて楽しい。前半の毎日チコの所に通うところはある種のロードムービーのようだった。
とにかく私はエイブが大好きだ。
料理という大好きなことに純粋にひたむきに向き合う姿や、ルーツが異なろうと大好きな家族のためにパーティーを主催する健気な姿に心を打たれた。これはフィクションだけども、エイブにはそのまま育ってほしいと思う。
時代はフュージョンへ
東京国際映画祭にて鑑賞。非常にポップで大人から子供まで楽しめる見易い作品であり、映画祭に相応しい作品であった。
エイブは人種も宗教も異なる両親から生まれ育った。両親はその辺りに比較的マイルドさや理解はあるものの祖父母となるとまだまだ偏見や頑固さが残り、故に両親やエイブを巻き込みトラブルを頻繁に起こす。
エイブは料理、そして料理の師として仰ぐチコの影響から両親や祖父母の異なる文化や宗教、そして料理をフュージョンして家族を一つにしようと努力する。
時には料理を混じり合わせ、時には言語を混じり合わせたりする。それが返って勘に触りフュージョンする事がコンフュージョンを招く事にもなる。
どんなに努力しても一つになれない家族を背にエイブは家出をする。残された家族は中々エイブが見つからない事から不安になり一度落ち着く努力をする。初めてエイブが作った料理を冷静になった口にする。
異なる国文化の料理を口にし自分の体に入れる事でこの作品としては相手を理解する事に繋がり最後は一つになる。
便利でグローバル化になった時代になった今、自分と異なる文化、宗教そして価値観に触れる機会は増え、今後もどんどん増える事になるだろう。
時としてそれらが対になる事もあるだろう。それらにぶつかった際に何十年も培ってきた自信の価値観に変化を与えるのは決して容易ではない。ただそこから逃げてはいけない。時代はフュージョンする事、できる事を求められてるのかもしれない。
チコも劇中で語っていたが、それらがすぐに結果となりうまくいく事は容易ではない。ぶつかり失敗する事の方が多いだろう。ただそこから逃げてはいけない。問題にぶつかり少しづつ少しづつ変化を与えて、真なる答えを見つける事が大切なのだろう。
そういう事の積み重ねが今のグローバル化の時代も築きあげたのではないか。
この作品においては宗教や文化の違いを料理や家族関係においてフュージョンさせた。これら以外にもいくらでも異なる存在、対する価値観などはたくさん存在する。
それらを1つにまとめるのは大変難しい事だが、同時にまとめる事ができたら、新しいものを生み出し平和にまた一歩近づく。
時にはぶつかりや争いを避け異なる存在から逃げるのも大切な時もあるかも知れないが、この作品を見てフュージョンさせ新しいものを生み出す美しさ、素晴らしさを感じさせてくれる。そんな素晴らしい作品であった。非常に貴重な時間を過ごす事ができた。
社会の分断を融合する?
映画を観る前、トレーラーを観てみた。トレーラーがこの映画の全てを伝えていると思った。この映画で、家族関係、親子関係、パレスチナ、イスラエル問題、フュージョン料理、異文化家族の板挟みのなかにいるエイブの葛藤、など盛り沢山にどこに焦点をおいてこのレビューを書こうか、なかなか決まらない。
Jorge Drexler - Milonga del Moro Judío この曲が好きだった。よかったら、コピペして聞いて。ユダヤ人でウルグアイ生まれの音楽家、医者
でも、このブラジルの監督(今は伴侶とロザンジェルスに住んでいる)の初めての英語の映画、これは何を言い表したかったのか?なぜ、この映画を作りたかったのか? それに。焦点を当てて自分の意見を書いてみる。
この『世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う』という文を解説から引用する。
チコはエイブの考えに同意し助け、エイブはユダヤ/パレスチナの両方の家族の心境を変えていった。ここに大切な役割を果たすのが、ブラジルバイーア州からきた、露天のフュージョン(融合)料理を営むチコ。チコはエイブに料理を教えただけでなく、家族が仲良くなるための秘訣を料理を通して教えた。それに、エイブの話を聞いて信じてくれた。(逃げるな、それに、向かいなさい。エイブ自身そのままでいなさいー(チコのエイブに対するこのアドバイスはいいね。)
フュージョン料理はいろんな形で、進出していると思うが、固定観念があって頑固な両親や祖父母に伝統的な食材を使っていても、融合料理は理解されるのは難しい。それがよく出ているのを言語から探すことができる。エイブの呼び方もアラブでのとヘブライ語とでは違う。かれはエイブが好きだと言ってるからここで、エイブ、(それが題)と使うが、行方不明になったと思ってエイブを探すために名前を呼んでいるが、ここでも、料理だけでなく、アラブでとヘブライ語とで呼び合っている家族がコメディータッチになっている。ここで明らかに呼び合ってる声がフュージョン(日本語で融合)している。
それに、二つの文化からの融合の賜物であるのが(祖父はネガティブにエイブの前でいった)エイブのはずだ。エイブは二つの文化の料理を作って、感謝祭のテーブルに出す。基本的に二つの文化を大切にした融合料理の創作は仲違いしている家族の間で、エイブに生きる力をあたえている。結果は悲惨で、それぞれの家族の文化に簡単に受け入れられなかった。その後、エイブの自己逃避の結果、家族全員がエイブの作ったパレスチナとユダヤの融合料理を平らげた。最終的にはエイブの自己逃避がこの家族たちを一つにまとめたわけだが。融合料理はこのなかなおりの結果の過程になっている。
社会がグローバル化され、人間が生きていく上にいいことも、悪いことも、テーブルの上に出して話し合うことが必要になってくると。逃げてはだめだと。融合料理を作ることによって、お互いの文化の良さを一つの料理にすることができるのであって、この概念が世界の人々が生きやすくするために必要だと伝えていると思う。伝統を大切にして守る気持ちはもちろん大切だと思うが。各文化の料理にも素材、調味料などの共通点がある。ましてや人間が作るのだからもっと共通点があるはずだ。融合は共通点なのだ。米国大統領選挙で社会が分断されている。イスラエルのユダヤ人とパレスチナ自治区のパレスチナ人は分断の歴史を持つ。共通点を一緒に賛美しようではないか。世界を皆が住みやすいところにするために。そんな、映画だ。
好きなシーン
両親が感謝祭にどう家族を招待しようか話している時、エイブがパレスチナ料理とユダヤ料理の融合料理を感謝祭に考えだすシーンが好き。急に起き上がって、家族が一緒に楽しく過ごすようなことを検索すると、『東西Divan オーケストラ』の『フィガロ結婚』がひっかかってくる。これを聞きながら感謝祭の献立をたてる。ユダヤのパン、ハッラーにパレスチナのフムスをぬったりして、融合料理を考える。(このオーケストラはスペインに住んでいる、ユダヤ人、エジプト人やパレスチナ人など中東の融合楽団員で作られている。指揮者ダニエルバレンボイムが創立者)
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