パラダイス・ロストのレビュー・感想・評価
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なかなか難しい。ただもっと和田光沙さんを欲したかったかな。
昨年観賞しました「岬の兄妹」の和田光沙さんが主演と言う事が気になって観賞しました。
で、感想はと言うと…う~ん、難しい…
あらすじである程度のストーリーラインは理解していましたが、それでもかなり難解な部分が多く、正直解釈が難しい。
観る人を選ぶと言えばそうなんですが、映画としての面白さが正直見出せ難い。
詩人と映画監督としての2つの顔を持つ福間健二監督の詩人の顔がかなり出ているのか、独創的な部分で一度置いてけぼりを食らうとなかなか付いていけない感じで、なんとなく寺山修司作品を思い出しました。
個人的に和田光沙さんの女優としての個性と言うか特異性が活かしきれてない感じが勿体無い感じ。
また、かなり演劇チックな演出も映画としての意図が感じられないんですよね。
カメラワークもこうでなければいけないと言うのがなくても、こんな感じでやってみたと言う理由が無ければ、ただ奇をてらっただけになる。
観る側にもそれを押し付けるのも傲慢にもなる。
そこの境をちょっと越えちゃってるかなぁ。
映画には映画としての良さと特異性があるし、演劇には演劇としての良さと特異性がある。
この作品を舞台で観たら感想は変わるかも知れませんが、それはたられば話なので、この作品の感想としてはちょっと個人的には響かなかったのは割りと期待してきたので少し肩透かしです。
上映後に福間監督の舞台挨拶があって、福間監督の話を聞けて、ある程度府に落ちた所もあるんですが、それはあくまでもボーナストラックなので、映画だけを観て理解が出来ないのは個人的には無し。
ただ、他の方が書かれてましたが、表現の多様性と理解と方向性の有無の確認を考えると稀有な作品かと思います。
ただ、やっぱりもう少し和田光沙さんを上手く使えてて、もっと噛み砕ければ良かったかなぁw
ダサい
いや〜、観づらいガーエーでした。作品のテーマは愛する人を失った後の再生という自分の大好物だったのですが、コラージュ的な作風と演劇っぽい演出が肌に合いませんでした。
訴えかけてくるものはポジティブで希望があり、清々しく感じました。
特に、日常描写を重視している点は好感が持てます。日々の生活を象徴する食事シーンが多く(しかも孤食ではなく様々な人たちと食卓を囲む)、新しい居場所や出会いによって再生がなされていく主人公の姿は、なかなか良いと感じました。
しかし、ゴダールっぽい断片的な作風は結構難解で咀嚼しづらい。しかも、ゴダールみたいに洒落ておらず、なんか全体的にダサいんですよ!だから観づらい!
日常を生きることがテーマなので野暮ったい画になるのは致し方ないけど、野暮ったいものを野暮ったく撮っているように思え、観る楽しみを感じられませんでした。
また、キャラ造形の細いところが不自然でダサいのです。亡くなった主人公の恋人の母親がパティ・スミス好きで自らをパンクと呼ぶのですが、無理しているように思えてキツい。主人公の弟はアンチレイシズムのデモに行ったりするのですが、上っ面な討論とかしていてダサいです。なんか、パンクやアンチレイシズム自体がダサく思えてしまう。
脱力ギャグの画がこれまたダサい。森を彷徨う幽霊(死神?)の手がてろんと垂れ下がったクラッシック幽霊の手をしていて、ガチならば痛いしギャグならば寒い。パンク母の夫であるギタリスト父がエアギターするシーンとか、死んだ息子がそれに合わせてステップ踏むとか、失敗したジム・ジャームッシュって感じでキツかったです。
一事が万事こんな雰囲気なので、急に舞台っぽくなって登場人物が詩を朗読し始めたりすると、ただでさえ違和感が強いのに倍増されるように感じます。
センスって、才能的な要素が強いように思えます。もともとセンスのない人がセンスで勝負しようとすると大怪我するな、と本作を観て思いました。
福間監督は詩人として大成されているようですし、大学教授や翻訳家としても活躍されているそうです。本作を観て、福間監督は映像ではなく文字のセンスを持った人なんだろうなぁとしみじみ思いました。
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