「本年最後のレビューは、劇場で観たのになかなか纏まらずレビューがまだ...」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 刺繍屋さんの映画レビュー(感想・評価)
本年最後のレビューは、劇場で観たのになかなか纏まらずレビューがまだ...
本年最後のレビューは、劇場で観たのになかなか纏まらずレビューがまだだったこの作品。
特別、三島由紀夫さんに思い入れがあるわけでもないですし、僕みたいな無知な人間に理解出来るか不安に思いながら観に行ってきました。
結果…滅茶苦茶良かったです。
三島由紀夫さんと芥さんの対話など100%理解出来たとはとても言えませんが、その熱量、彼等の主義主張がその一部でも知れたのは自分にとって大変為になったと思います。
僕も学生運動を直に知っているわけではありませんし、予備知識もあまり無い状態での鑑賞でしたが、解説が入るので分かり易く、半世紀前の日本の姿、日本での左派もその発生した動機も反アメリカ=愛国が根底にあった事に今更ながら気付けたのは大きな収穫でしたし、当時学生運動に励まれていた方々のその後がほんの少しではありますが知る事が出来、長年の疑問が氷解した感じです。
三島由紀夫さんの“天皇”という考え方には大いに賛同出来ますし、三島由紀夫さんのカリスマ性、器の大きさ…きっと僕も身近にいたら、感化されていた事は間違いないくらい魅力的な方ですね。これは是非、自分よりももっと若い世代、10代や20代の方に観て欲しい作品です。
三島由紀夫さんが現在も存命でしたら、今の日本を見てどう思ったでしょうね?
三島由紀夫さんが全共闘を説得しようとしていたのは、右や左といった一見正反する主義ですが、そこには共通の敵がいる事が分かっていたからだと思います。
そして実はその敵は今も存在していて、その闘いはまだ終わっておらず、未だ続いているんですね。
(過激派の事ではないですよ)
三島由紀夫さんもとても魅力的でしたが、芥正彦さんも興味深い方ですね。
20歳を幾つか過ぎたくらいで三島由紀夫さんと渡り合える辺りからも頭の良さは分かりますが、70歳を過ぎた今でもギラついた刃のような感じの方ですよね。
学生運動について(敗北に終わったのでは?)のインタビューでは“自分がまだ存在している”との主旨の答えをなされていましたが、主義主張は違いますが、パンクの“Punks Not Dead”に通ずるものがあるように思いました。
まだ終わったわけじゃないという芥さんの気概、凄いですよね。
また、三島由紀夫さんが自決なされた事についてのインタビューでは“良かったじゃないか、彼も本望だろう”というような答えをされていて、一瞬、カチンときたのですが、よくよく考えてみたら、決して三島由紀夫さんの死を嘲笑ったりしているわけではなく、真実を語っていただけなのではないかと思います。
三島由紀夫さんは第二次世界大戦を生き残ってしまった事に負い目を感じているような節があったみたいですし、いつか日本のために命を捧げたかったのではないかと、そして自分の中にある美学に則ったのではないかと、そんなふうに僕には思えました。
ですから、芥さんは“本望ではないか”という意味で、あのように答えらっしゃったのではないでしょうか?
三島由紀夫さんと芥さんの決定的な違いは、三島由紀夫さんが本気で全共闘を説得しようとしており、きちんと意見を聞き、相手を尊重したいたのに対し、芥さんは最初から相手に分かってもらうつもりがなかった事、そして言葉で捻じ伏せようとしていた点のような気がします。
議論を途中で投げ出してしまった点も印象として悪く、あれでは逃げたのと変わらないように見えてしまいますよね。
まだ、書き足りないような気がしますが、これ以上書いても纏まらなさそうなので、このくらいにしておきます。
取り留めのないレビューになってしまい、すみません。
最後にご挨拶を。
皆様、今年一年大変お世話になりました。
皆様のお蔭で、今年もまた素敵な映画に出会える事が出来ました。
自分も含め、多くの方がコロナに振り回された一年だったかと思います。
新作映画の公開が延期されたり、映画に携わる方々には厳しい一年になってしまわれたかと思いますが、そのお蔭で多くの方が映画を愛している事を改めて実感出来たような気がします。
個人的な事ですが、元々本業の仕事が減っているところに加えて、このコロナの影響で仕事が更に激減。
加えて、自分のバイト先のお店に、市街地から通じる道路が1年五ヶ月に渡って終日通行止めになるため、バイト先のお店が閉店の危機に瀕していますし(どう考えても踏切工事で接する道路が1年5ヶ月も終日通行止めっておかしくないですか?)全く先行きが見えない状態に陥っています。
来年、どうなるのか全く分かりませんが、また皆様のレビューを拝読させて頂き、より多くの映画を鑑賞出来る一年になれば良いなと思っています。
今年は暗いニュースが多かったような気がしますが、来年は皆が笑顔で過ごせる年になる事を願っております。
それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。
CBさん
コメントを有難う御座います。
こういう作品を観ると自分の頭の悪さをイヤという程知らされてしまいますが(笑)世の中には頭の良い方がいらっしゃるものですよね。
『鬼滅の刃』ではありませんが、その頭の良さを是非とも良い方向に使って頂きたいものですよね。
> 芥さんとの会話
俺も、ほとんど理解できません。それだけに、解説してくれる映画の中の人たちに対しては、「世の中には、頭のいい人たちがいるんだなあ」と心底尊敬します。そして、頭のよさを、これからもずっと、大切なことを俺たちが理解できるように解説することに使っていってほしいものだな、と思いました。まったく勝手な希望ではありますが。