「厳しく優しく人間らしく 令和に沁みる映画」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 あつ♪さんの映画レビュー(感想・評価)
厳しく優しく人間らしく 令和に沁みる映画
時間を忘れて、蘇ったドキュメンタリーに見いってしまいました。司会の学生が三島由紀夫先生と言ってしまったのから始まり、暴力的ではない雰囲気のなか、文化人同士での観念論(頭の中で組み立てた考え・論)が続いた。内容があまりにも深く難解。それはそれで面白かった。1000名の学生もきれいに並んで座っていて、VSという感じではなかったんだなーという印象でした。そんな討論は全共闘の恥だと言って割り込んできた学生(ある意味暴力的存在)にキタキタ~と共感したのも束の間、即刻その場から居なくなってしまい、少し残念に思う一般庶民の私。その学生を見て笑いながら三島由紀夫 大先生へタバコをうながす、同じく闘う学生の身分なのに?の芥氏。三島由紀夫も同調してしまっていたが、暴力について冒頭に"有り"かのように力説していたのに、ここでは戦わないのね、と少し残念。この彼がリアルな現実であるような気がした。この彼や仲間達も東大全共闘バリバリの言葉を持っていただろうから、こっちと討論して欲しかったです。マッチョな体を乗り出して話をしようと言葉の質を下げてでも一歩踏み出して欲しかったです。とっさにかわした現実とはかけ離れた観念討論を「愉快」だったと、あえて人間的な言葉で片付けたのは大人の見栄だったかなー。
最後の方に小説家が「一番大事なのは言葉だ」みたいなことをあっさり言っていて、えっそんなシンプルな言葉で映画締めるの?と拍子が抜けたが、熱い時代とは対称的に これが現在 言葉を生業としている方の言葉なんだなと受け取りました。現在の芥氏の、俺は間違っちゃいねーぜみたいな生き方も=熱く生きるのも楽しそうだなと思いました。人は大切に思うことが違うんだな、いずれにしても、その時その立場において真剣に向き合って深く考えること、言葉で表現することは大切なんだなと思いました。
世界と戦っていく時代を生きる我が子に「一番大事なのは 熱と敬意と言葉だ」ということは伝えたいです。