「あの季節を通り抜けたのはいいけれど、で、どうなったんだ。」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 はるさんの映画レビュー(感想・評価)
あの季節を通り抜けたのはいいけれど、で、どうなったんだ。
それぞれの思惑通りにこの場所が設定され討論が始まってそして今この国はあの頃と比べて良くなったんだろうか?観念が先行する中でゲバルトが幅を利かせて暴力を肯定し言葉を弄んでいたあの頃。あやふやで猥褻な国「日本」。両者の共通の敵はこの国そのものだったし、この
討論で見出せたのはそんな戯言だけだったのだろうか?右も左もなく三島は1000人の学生を説得しようとしたが、自らの命を絶つ為の言い訳に少しだけ役立てたに過ぎなかった。全共闘の猛者たちはタテカンを燃やしあやふやで猥褻な日本の歯車に組み込まれることに抵抗せず、世界人にもならず三島ほどの優れたパフォーマに嫉妬するだけの人間にしかなれなかったことを悔いているかのようだ。しかし、言葉の大切さを痛感せずにはいられない。他者・天皇・熱情これを理解するためには言葉が必要なのだ。真剣に悩む人たちが観る映画だし、ひょろりと世の中を渡って行けると信じている人たちは見ない方が良い。いずれにしてもブレぬ方が身のためだからだ。
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