「今年の日本映画は『37セカンズ』とこの一本だけでも歴史に残ると思う」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 琥珀さんの映画レビュー（感想・評価）
今年の日本映画は『37セカンズ』とこの一本だけでも歴史に残ると思う
【三島由紀夫の昭和天皇への思いについての考察】4／1追記
最近読んだ『9条入門』（加藤典洋）。
大雑把に言えば、護憲派、改憲派がずーっと議論してきた憲法9条は、実は象徴天皇についての1条とセットで成り立つという仮説を300ページ強をかけて根拠をあげながら推察していくスリリングな論考です。
帰国後の大統領を目指すマッカーサーには占領統治を手際良く終結させたいという思惑があり、早期の日本国民の統制のためには天皇を戦犯として裁くわけにはいかない（もし、天皇を絞首刑にしたら、各地で反乱が起き、占領政策が進まなくなる）。そして、天皇を裁かないことに納得出来ない他の連合国への交換条件的な意味合いで、世界に類を見ない自衛権まで放棄する内容の9条が必要だった。
（他にも色々な要素が複雑に絡み、もっともっと深く楽しめます。くれぐれも、なんだ、もう分かったから読まなくてもいいや、などと思わないでください。著者に申し訳が立ちません）
マッカーサーやGHQに利用されることと引き換えに処刑されることのなかった昭和天皇。東條英機ら7人の戦犯の処刑の報に涙した時の天皇の思い。理念だけでは国を守れないことを冷徹に見定めて、マッカーサーの呪いを解いた日米安保条約の前の決断……。
当時の昭和天皇の本心は誰もわかりませんが、もしかしたら、三島由紀夫さんはこの本で語られる文脈とは違う形で直観的に見抜いていたのではないか。
映画では学習院高等科卒業時の昭和天皇の姿勢に打たれたと語られていましたが、そんなことも影響していたのではないか、と思えるほど説得力のある論考でした。興味のある方は是非ご一読されることをお勧めします。
（以上、2020年4月1日）
ひとりの命がけの覚悟を持った人の振る舞いから何かを感じて欲しい。
これは、あくまでも個人的な願望です。
でも、なるべく多くの、できれば若者に、この映画を見て何かを感じて欲しい。
心からそう思いました。
戦後史や政治思想や哲学的な解釈など色々と複雑で難解な論点がこのシンポジウムに含まれていることは、内容はさっぱり理解できない私でも分かりました。
でも、この映画で最も感動したのが、三島由紀夫さんのどこまでも誠実な人間性です。
・自分の考えを分かりやすく伝えようとする姿勢
・相手の発言を最後までしっかりと聞き、理解しようとする姿勢（相手の考え方に対しての先入観があると自分に都合よく解釈してしまうことは日常的にありますが、三島由紀夫さんは相手の立場で理解するようにしていました）
・自分が抱える、理屈では語れない部分のバックボーンを晒してそれが議論の上では弱点になることがあると分かっていながらも潔く認める姿勢
そして、それらのすべては相手へのリスペクトがあるからこそだし、『言霊』という表現には、自分が何を発言しようがその場限りの発言なので責任なんてない、という不誠実さがもしあるのなら、それは将来的には自分自身を損ねることになるんだよ、という意味での若者への愛情を込めた警句なのだと、私は受け止めました。
（忘れないうちに追記）
序盤の方で、三島由紀夫さんがモーリヤックの小説からの引用の後、『諸君も体制の目の中に不安を見たいだろう。私も見たい』というようなことを言ってましたが、今は国民の大多数、特に若者の方が目の中に不安がたくさんあります。
長期安定政権の有用性自体は否定しませんが、為政者に絶えず不安を与える程度の国民の意思が無いと、モリカケ問題やその他の諸問題がみな、何もなかったことで収束しているのも事実だと思います。
三島由紀夫さんはもっと観念的な不安のことを指してるのだと思いますが。
琥珀さん💎お疲れ様です🙇
地元、仏教、猫、戦中戦後話…と好きなキーワードばかりで気になり、Amazonに注文してます…今日届く予定です📘
私からのオススメは、少し高いですが…｢ふたりの村上/村上春樹･村上龍論集成｣ 著者/吉本隆明です。中々難しい文体ですが、読み解く面白さありです📙
※般若心経バンダナや、着なくなったロックTシャツを流用してminiミシンでマスク作りしてます。…コンビニやスーパー行く時は、首かけウイルスブロッカーぶら下げ行ってます😷
琥珀さん💎読了お疲れ様でした🙇
私は読中に映像ばかり浮かび…2度目は、映画化を夢想しながら読んでました。…スケールの大きな日･中･米･伊の合作映画…🎬
…遅すぎ緊急事態宣言、私の県も入ってます😥…2月以来、京都には行けてないですが、｢風神雷神｣を読んで、たまらなく再訪したくなっています。
『建仁寺』で見れる風雷図は、レプリカですが入っていきなりあります。迫力ある天龍図は撮影可です📷…俵屋宗達の作品は京都の何ヵ所かにあります。京都国立博物館(こちらにもあり)の南、｢三十三間堂｣(こちらもオススメ)のお隣、『養源院』にある白象図は実物で、間近で見る事が出来、オススメです🐘
…安心して行ける日が来る事を祈ってます🙏
鑑賞菩薩さん
その程度のこと、私もしょっ中やらかしてますよ。一字抜けるどころか、漢字の変換ミスに気づかないまま、なんてザラです。かえって恐縮だし、ちょっとホッとしたりして🤗
ご丁寧にありがとうございます。
琥珀さん💎
｢拝読しまた｣→｢しました｣です🙇…偉そうな事書いても、抜けた所がある私は、こんなもんですわ(笑)…真剣に書いておられる方に失礼ですよね、すみませんでした🙏
琥珀さん💎コメントありがとうございます🙇
｢9条入門｣拝読しまた。変な言い方ですが、凄く面白かったです。数々のおすすめ感謝します…今、映像を見ると不安になりますが、文章を読むと安心、或いは納得出来ます📖
本当に明日どうなるかわからないです…昨年の今頃、オリンピック中止になるなんて思ってもいませんでしたし、来年は新作映画をいっぱい観ようと思ってましたが、たった3ヶ月でこれですからね…😥
本作も｢9条入門｣に登場する方々も、明日どうなるかわからない中で、翻弄されずにアイデンティティを貫いた格闘の記録だと思います…そして、下世話な説の域を出ませんが…マッカーサーと三島由紀夫の共通点は、どちらもマザコンだったと言われている事です。…🙏
＊マスク2枚いりません。映画のDVDか本2冊の方が欲しいです…で、旧作や再観したい映画をTSUTAYA宅配レンタルしてます…マスクは手作りしてます😷
きりんさん、ありがとうございます。
今の国会中継を見慣れた感覚からすれば、とても新鮮で気持ちいい議論です。
違いを理解する、どこかでは折り合えるかもしれない、そう思えて前向きになれます。始めから言いたいことだけ言う、内容などなくても言い負かしたように見えればいい。つまりは国民よりも地元の有権者にだけ受ければいい、と言う議論とはもっとも遠い風景でした。
おはようございます。
拝読させて頂きました。憲法９条から言及されている箇所が追記分ですね。
流石です。勉強になります。
ところで、いきなり下世話な話になりますが、琥珀さんのレビューには多くのコメントが、寄せられていますね。
私にもいつも多くの事を教えて下さる方々からコメントを頂きますが、少し寂しい。"咳をしても独り"
すいません。今から重たい会議があるので小学生みたいなコメントになりました。
猫好きの方の素晴らしく面白みのあるレビューが読みたいなあ。
今晩は。
”三島由紀夫さんがモーリヤックの小説からの引用の後、『諸君も体制の目の中に不安を見たいだろう。私も見たい』というようなことを言ってましたが、今は国民の大多数、特に若者の方が目の中に不安がたくさんあります。”
仰る通りですね・・。
それにしても、今作の討論内容は面白かったですね。
何より、当時の多くの人が日本の今後を憂いていた事が画面から伝わってきて、心揺さぶられるものがありましたね。
では又。
琥珀さん✨Mishimaの話👤
未観ですが、レビュー拝読し、私は観るべきだと確信しました。
三島氏は俳優としても映画に数本出演されてますが、観たのは市ヶ谷のクーデター1年前に出演した｢人斬り｣で、まるで予行演習の様な切腹シーンがあり、その生々しさに勝新も裕次郎も仲代さんも霞んでました。
あと、ポール･シュレイダー監督の｢ミシマ：ア･ライフ･イン･フォー･チャプターズ｣(原題: Mishima: A Life In Four Chapters)…ご存知ですか？輸入盤でしか観れないですが、緒形拳が三島を演じた中々凄い映画です…討論会を再現したシーンあり…興味おありなら一度ググって見て下さいませ(映画.com以外で)🙏
なるほど、そういう面もありそうですね。もし、コンプレックスの克服という要素もあるのだとすると、それはそれで分かりやすい正直な人なのですね。
と、もはや何でもいい方に解釈してるので、私のコメントの客観性はもはや担保されませんので、ご注意ください。
三島由紀夫はおばあちゃん子で体が弱くて細くて、女的環境で育ったそうです。そこからの脱却も、その後の彼の運動系、自衛隊体験、ボディビルに関係しているのかもしれません。
天皇陛下万歳‼️切腹⁉️
私も事件の表層からの印象が先行してましたが、この映画の中だけでも実相はまったく違うのではないか、と思えてきました。戦争という時代を生き残った者としての自身のありようのようなもの（理解力と語彙が足らないので正確にお伝えできませんが）を血みどろになって（身体を鍛えていたのも知能と精神をフル回転させるための体力が必要だったからだと思います）探求していたと思います。その膨大な知的作業を想像するだけで涙が滲んできます。
琥珀さん、三島の作品と彼の行動は別物にして考えたい自分が居ます。でも、琥珀さんのレビューを読み、予告編をちらりと見、映画も見ようと思うようになりました。
