「ずっと観るのが怖かった。」82年生まれ、キム・ジヨン ROKUxさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと観るのが怖かった。
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たぶん私の中の《昭和オヤジ》が、日頃の言動を糾弾されそうで恐れていたのだと思う。
韓国映画だけれど、状況はそのまま日本にも当てはまりそうだ。
前半は、子育てのしんどさや、「嫁」という立場の理不尽さ、女性であることの生きづらさが、これでもかというくらい描かれる。観ている方も辛くなってくる。主演のチョン・ユミのやつれ具合がリアルだ。
ネタバレをお許しいただければ、物語の中で希望の光が見え始めるのは、主人公が自分の病気を自覚してからである。それは、韓国の社会がこれまで女性に対してどういう扱いをしてきたか、このような作品が共感を得られるほどに、やっと自覚され始めたことに擬えられるのかも知れない。
自覚すらできず、旧弊がまだ常識としてまかりとおっている社会は、外目には問題がないように見えるだけに、病巣は根深いように思える。
個人的には、一見やさしそうな旦那の鈍感さがいちばん罪深い気がした。
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