「怖かった。」82年生まれ、キム・ジヨン エクさんの映画レビュー(感想・評価)
怖かった。
怖かった。
全編を通じて。
ヒロインが生命を絶つんじゃないかと気が気じゃなかった。
安心できない、安定しない作品のトーン。
これがヒロインの心の風景なんだと思う。
夫が妙に冷たくみえる時があった。冷静に冷静に、丁寧に丁寧に妻と関わる様子が時に感情を横に置いているように見えたりした。愛情と自責のあいだで悩むシーンは時に冷静すぎるほどに見える理由を十二分に語っていた。
映画を見ながらいろいろと考えた。
自分は家族とある程度離れて生きる生き方を知らず知らず選んできた。
自分でもわかってはいることだが、ようするに怖いんだと思う。
おのれの弱さや身勝手さが怖いのだと思う。
家族を苦しめることにならないかが怖いのだ。それを引き受ける度量がないと感じるのが怖いのだ。
答えはでない。
ただ、自分のなかにも他人のなかにも不作為に人を傷つけてしまうなにかがあるということ、そのことをきちんと自覚すること、そのことだけは忘れないようにしようと思った。
コメントする