「絵に描いたようなハイ・コンセプト映画」幼い依頼人 古澤敏司さんの映画レビュー(感想・評価)
絵に描いたようなハイ・コンセプト映画
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概要を読めば分かる通り、弁護士資格やその他の資格も持っているが姉の世話になってグダグダしているダメ人間が、明らかに虐待と思われる幼児殺害事件に関わることで、殺人の嫌疑をかけられた10歳の姉を救うべく、出世の道を捨ててまで奔走する物語。すごくわかりやすい。
その中で、様々な物語的な仕掛けというか伏線というか、のちに効果を発揮する隠された話のパーツがこれでもかというほど埋め込まれており、後半でそれらがすべて回収される様は見事としかいいようがない。……のだが、あまりにも出来すぎていて逆に減点対象かなあと。ゴリラのぬいぐるみの件は、何か他の作品でも同じような仕掛けを見たことがあるような気がする。
主役のイ・ドンフィは常に善良な役をするわけではなく、時にはけっこう無情な役回りを演じることもあるが、そうした染まりきっていない個性が、今回の役ではとてもうまくハマったといえる。最初から「熱血そう」じゃないという点は、終盤のカタルシスにとって欠かせないキャラだったのだろうと思う。
それにしても、若年者が法廷で証人となり、いわば「奇策」によって判決を覆す映画。韓国映画では定番でありながら、しかも確実に面白い作品になっているのがとても不思議。
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